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「さて、それでは早速新しいミッションだが・・・」

僕たちは今駅前のファーストフード店にいる。
恭介の「労働の尊さを知ろう」という思い付きで始まったティッシュ配りのアルバイトだったが、 その恭介の提案によって、鈴の働きっぷりを監視する任務が始まろうとしていた。
労働の尊さは・・・?

「まずはコードネームを発表したいと思う」
「ふむ、恭介氏。「リトル・エージェント」はどうだ?」
「いや、「鬼武者たち」に対抗して「9人の忍」で行こう」
「へっ・・・「マッスル筋肉」これに決まりだぜ!!」
「意味かぶってるから」

ミッション名について議論をする僕たち。ちなみ真人のボケに対する僕のツッコミまでの所要時間は0,3秒だ。常に先読みするのもツッコミには大切だ。
しかしミッション名ねぇ。地味にリトル・エージェントとかはいい線な気がするなぁ。
などと考えていると、恭介がいつものように不敵な笑みを浮かべ、口を開いた。

「フッ。残念だが、もうコードネームは決まっている。最高にイカしたヤツがな」

相変わらず自信満々だ。その自信は一体どこからくるのだろう?

「それは楽しみですっ!!」
「楽しみだよ~」

二人は恭介のタイトルに期待しているみたいだけど・・・
わざとかは知らないが、恭介のネーミングセンスは絶望的だ。
ハッキリ言って期待するだけ無駄だろう。とりあえず僕はいつでもツッコミができるように腰を低く中段の構え(ツッコミ)をとる。

「これだ!!」

声をあげて横断幕を広げる恭介。
いつも思うのだが、その横断幕はどこに隠し持っているんだろう?



「第一回、酸っぱい!?スパイ大作戦!!」

「はい拍手~」

イカスどころか逝かすタイトルに拍手はまばらだった。






___________Misson on Sunday     中編____________





それにしても酸っぱいスパイって・・・
期待してなかったけど、想像以上に寒い。温暖化なんて一発で吹き飛ぶのではないだろうか?
もう11月ということもあり、身震いしている客すらいた。
スイマセン。勝手に騒いでる上に室内温度下げて。

「内容は単純明快。俺達の代表者がスパイとして鈴の動向を監視。そしてそれを無線機で報告する。以上だ」
「なるほど・・・シュパイでしゅか」
「・・・」
「・・・噛んだだけですが・・・何か・・・?」

あ、ちょっとヘコんでる。
例の如く「ああ、そうだ。シュパイだ」と恭介と来ヶ谷さんにからかわれている西園さんをみんなで生温く見守った。


「理樹君。「みおちん萌えー」と言いたそうだな?」
「いや、そんなことないから」 

「む、ならば私が言おう!!みおちん萌えーーーーー!!」
「て、店内で叫ばないでください・・・」 

ミス・フリーダムこと来ヶ谷さんが暴走している。「おお!!来ヶ谷が暴走だ!!暴徒とかした!!」と隣のジャンパーまでも絶賛暴走中だ。
ちなみにミスターはもちろん恭介。この二人に今いじられまくっている不憫な西園さんをみんなで生暖かく見守った。 



「さて、早速トップバッターだが」
「はいはーい!!はるちんいきまーす!!」

恭介の言葉を遮って葉留佳さんが立候補する。確かにこういうの好きそうだもんなぁ。
まぁ、彼女の場合オチが目に見えてるわけだけど。
多分恭介もその事は重々承知だろう。こちらの予想通り、恭介は葉留佳さんに首を振る。

「ダメ」
「え~、なんで~!?」
「実はトップバッターは決まっている。かの有名なイーサン・ハントだ」

いきなりの恭介の爆弾発言。
・・・い、イーサン・ハント!?あの映画の世界で世界的に有名なスパイが!?
っていうかイーサンはフィクションじゃないのだろうか。
みんなが驚愕している中、恭介は口を開いた。


「行け。真人」
「へ?俺?」

気の抜けた返事をする真人。イーサンがトップバッターと言っていたのに自分が指名されたのだから、それも当然だ。


「・・・イーサンはどこいったのさ?」
「だからコイツがイーサンだっての。こいつのクラスと出席番号は?」


えーっと真人は確か、E組の三番。
E組の三番・・・E-3・・・イーサン・・・
寒っ!!寒すぎるよ!!そのギャグ!!
店内を見渡すと多くの客が突然下がった気温に困惑している。
ああああ、スイマセン。スイマセン。また気温下げちゃって。

「えーっと、どういう意味ですか?」
「クーちゃん、それはあれだよ~。井ノ原さんっていいにくいから略してイーサンに・・・ってそんなに略すんですかー!?」
「略すんですかー!?」
「いやいやいや、全然違うから」

相変わらずの天然コンビが凄まじいボケっぷりを披露する。
クラスと出席番号って言われたのに、二人とも全く聞いてなかったね?
ちなみに真人もさっぱりわかっていないようだ。頭の上にやたら筋肉質な?マークが浮かんでいる。
恭介はそんな真人の様子を気にするでもなく、真人に指示を出す。

「いってこい!!イーサン・真人!!」
「・・・よくわかんねえが、俺の筋肉に任せな!!」



MISSION START!!



無線機をつけ、筋骨隆ry・・・自信満々にミッションに向かう真人。
はっきり言って不安だ。大丈夫なのだろうか?
なんか一瞬で「筋肉スパイだ!!」とか言ってバレそうな気もするけど。
とかあほなことを考えていると、真人からの連絡が入った。


『こちらイーサン。配置についた』
「そうか、それじゃあミッションを説明する」

恭介が無線機の先の真人へと話しかける。

『へ?それさっきやらなかったか?』
「馬鹿、雰囲気だよ」
『え?ふいんきだろ?』 


『こいつ馬鹿だ!!』

真人のボケにツッコんだのは・・・鈴の声!?
さ、早速ばれたのか!?
と思ったら、僕の横で電話の再生ボタンを押している恭介がいた。
一体なにを録音してるのさ・・・

『うぉっ!!鈴にばれたのかっ!?』
「いや、ばれてないから」

状況を理解していいない真人に、何があったのかを説明する。

「恭介氏。是非ともそのボイスを私にもくれないか?」
「ああ、後で送信してやるよ」
「うむ、明日からはこれを着ボイスにしよう」

なんとも満足そうな顔で頷く来ヶ谷さん。
どうでもいいけどよだれでてるよ?

『あのよー・・・ミッションの説明、してくれねえか?』

真人がとても寂しそうに恭介に尋ねる。
自分の存在が忘れかけられているのが辛いようだ。

「おっと、そうだったな。スマン、スマン」
『頼むぜ全く。まぁどうでもいいんだけどよ』

言葉こそぶっきらぼうだが、ほっとしたような真人の声。
なんだろう。いつの間にかツンデレ属性でも手に入れたのだろうか。

「今回の任務は鈴の監視だ。決して見つかってはいけない」
『ああ、言われるまでもねえがな』

先程にも説明した内容を再び真人に説明する恭介。
しかし、今回はやたらと力が入っている。きっと役になりきってるんだろう。 


「では健闘を祈る。・・・ちなみにこのメッセージは0,1秒後に『ぼーん!!・・・こっぱみじんだ』」
『へ?』

一瞬聞こえる真人の拍子抜けした声。
次の瞬間。 


『ぼーん!!』

『うぎゃあああああああああああああ!!早すぎだろおおおおお!!』


無線機から聞こえてくる、真人の絶叫。
井ノ原真人  殉職。


んなわけない。
しかし、まさか本当にイーサンの雰囲気のために爆破したのだろうか?

「恭介。いくらなんでもやりすぎじゃない?」
「馬鹿。音だけだっての」

僕の非難を軽く受け流し、恭介はいたずらっぽく笑う。
ああ、なんてピエロなんだ・・・真人。
でもそこが真人のいいところだよね。

『うおお!!俺の耳が・・・ってなんともねえ?さすがは俺の筋肉だぜ』 

自己完結した・・・!?
それを見た恭介が悪魔の笑みを浮かべ、携帯のボタンを押す。

『ぼーん!!』
『うぎゃあああああああああああ!!』
「いやいやいや。音だけだって」
『え?・・・何だよ、驚かすなよ』
「いや、僕に言われても・・・」 

それを聞いて安心した真人は、どうやら諜報活動を再開したようだ。
あれだけ騒いでスパイも何もない気がするけどね・・・

『こちら真人。鈴を発見』
『ぼーん!!』
『うぎゃああああああああ!!』
「それはもういいから・・・」

恭介の指先ひとつでいいように操られる真人が、何だか哀れになってきた。
しかし恭介はそんなことはお構いなしに話を進める。


「で、様子はどうだ?」
『・・・誰もいなくなったせいで、だいぶ困惑してるみたいだな。あ、電話かけてる』

すると僕のところに鈴から着信が。
それに気づいた恭介が「とれ」と目で僕に指示をだす。
僕は軽く頷くと慌てて電話をとった。


『理樹っ。いつまで行ってるんだ!?』

こっちの返事も待たずに、電話先からいきなりの鈴の大声が聞こえてくる。
本当にトイレに入ってたらどうするんだよ・・・
トイレから女の子の大声があがるシーンを想像して、僕は冷や汗を流した。
まあ『筋肉革命だあああああああああ!!』とか流れるよりかはいいけど。

「ご、ごめん。でもみんなは?」
『きょーすけも真人も謙吾も、みんないない・・・』

先程の大声とは対照的な弱々しい声。

「・・・ひょっとして寂しい?」
『なにぃ!?寂しくなんてないぞっ!!いいから早く戻ってこい!!』

素直じゃないなあ。まあ、そんなところも可愛いんだけどね。
ハイそこ、来ヶ谷さん。よだれ禁止。

さて、どうやってこの場をごまかすか・・・正直いいアイデアなんて何も思いつかない。
内心焦っていると、恭介が小声で僕に声をかけてきた。

「理樹・・・俺の言ったことをそのまま言え」
「う、うん」

よかった。これでなんとかなりそうだ。
小声の恭介の声をコピーして、僕は電話の中の鈴に話しかける。


「(好きだよ、鈴)」
「好きだよ、鈴」
『ふにゃっ!!・・・いきなり何を言い出すんだ・・・恥ずかしいぞ』 



「(・・・それと便座カバー)」
「・・・それと便座カバー・・・って何言わせるのさ!!」
『何言ってるんだ理樹?そっちが言ったんじゃないか』

開始10秒で爆弾発言連発の僕。っておい!?
僕はいきなり暴走している恭介をジト目で睨む。
しかし恭介は平然とした顔で、「続けろ」と目配せするだけだった。
頼むよ全く・・・

「(ごめん)」
「ご、ごめん」

よし、なんとか軌道修正を・・・ 



「(ごメーーーーーーーン!!)」
「ごメーーーーーーーーン!!・・・ちょ、謙吾!!」

いきなり乱入のジャンパー男についツッコんでしまう。
ああもう、なんかどんどん変な方向に話がいっているよ!!
ツッコミどころ満載なのに、電話中だからツッコめない!!

『なんだ?謙吾と一緒なのか?』

「(実はヒトデです)」
「実はヒトデです・・・」

暴走はとまるどころか勢いを増していく。
あははは・・・もうどうでもいいや~。
これがあきらめの境地というやつだろうか。

『なにぃ!!ヒトデと一緒なのか!?』
「(ヒトデの筋肉がこむらがえっちゃって今大変なんだ)」
「・・・ヒトデの筋肉がこむらがえっちゃって今大変なんだ」

一瞬無線機の先の真人が反応したが、なんだよヒトデかよ。とすぐに興味を失なった。ヒトデの筋肉には興味ないんだ。
そもそもヒトデに筋肉はあるのだろうか。

『そうか、それは大変だな。手伝うぞ?』

あ、あれ・・・?
何故か会話が成立してる?

「(いや、大丈夫。ちなみにみんなは今忙しいみたいだから、もうちょっと一人でがんばって)」
「いや、大丈夫。ちなみにみんなは今忙しいみたいだから、もうちょっと一人でがんばって」
『う、うん・・・頑張ってみる・・・』

ピッ
話を終えた僕は鈴との電話を切る。
こ、こんなグダグダで何とかなってしまった・・・ 


「なっ?なんとかなっただろ?」

相変わらず恭介は自信満々だ。
それに対して、僕は大きく息を吸い込み、一息でフラストレーションをぶちまけた。


「いや、便座カバー別に好きじゃないから!!謙吾もごメーーーーーン!!ってどれだけ必死なのさ!?ヒトデと一緒にもいないし、こむらがえりもしないから!!鈴もこんなので納得しないでよ!!」
「おお、理樹君がハイスピードツッコミを・・・」
「直枝さん、輝いてますね」
「ここにはいない鈴さんにまでツッコムとは・・・よっぽどツッコミたかったのですねー」
「はぁっ・・・はぁっ・・・」

一気にツッコんだため、息が切れる僕。
でもちょっとスッキリ・・・
恭介はそんな僕の肩を叩く。

「強くなったな。理樹」
「・・・嬉しくないから」 

なぜか得意げな恭介に僕は溜息をつく。

『あのよー・・・もうミッションに戻っていいか?』

またも寂しそうな真人の声が。
やばい、なんだか僕も真人に萌えてきたよ・・・ってそんなわけないから。

「ああ。鈴の様子はどうだ?」
『だいぶ困ってるみたいだな。これから俺はどうすればいい?』
「うむ、鈴君の背後に回って筋肉フェスティバルだ」
『まじかよ?聞いただけで鼻血がでそうだぜ!!』
「いやいやいや、それスパイじゃないから・・・」

あほあほなやり取りに、僕は今日何度目かもわからない溜息をついた。
それを聞いた真人の落胆した声が聞こえてくる。
一体何を期待してるんだか・・・ 


「真人。もっと近づけないか?鈴の声を拾いたい」
『んなこといってもよお。これでも結構近いぜ?さすがに気付かれちまう』

恭介のもっと近寄ってくれという要望に真人は難色を示す。
確かに、虎穴に入らずんば虎児を得ずという言葉もあるが、無理をして鈴に感づかれてしまっては台無しだ。

「ならば誰かに変装して近づいてみたらどうだ?」
『お、謙吾!!さすがだな!!じゃあ俺は通りすがりのボディビルダーに変
装しようと思うんだが・・・どうだ?』

いや、通りすがりのボディービルダーってどんなさ?
上半身裸で通りかかる筋肉を想像してしまった僕は、思わず青ざめてしまう。 


「はっはっは!!いいじゃないか!!・・・なーんて言うとでも思ったか、ばー・・・」
『よっしゃ!!ルー・フェリーノ並の筋肉を見せてやるぜ!!』

謙吾の否定の言葉を遮って、やる気満々な声を上げる真人。
っていうか誰だ、ルー・フェリーノって。 


「言うとでもおもっ・・・」
『HI~!!MUSCLE!!MUSCLE!!』
「言うと・・・」
『MUSCLE・REVOLUTION!!DAAAAAA!!』
『うわっ!!なんだコイツ!!こわっ!!』

・・・だ、大惨事だ。
必死に否定しようとする謙吾だがもはや時すでに遅し。
真人は既に鈴の前でマッスルレボリューションを始めてしまったらしい。
無線機からは真人によって引き起こされているカオスが、余すところなく聞こえてくる。

「謙吾・・・責任取れよ」
「や、やってしまった・・・」

頭を抱えながらも恭介は謙吾に責任を問う。
謙吾も責任を感じているらしく、ジャンパーの猫が気まずそうだ・・・ってまた新しいの作ったんかい!!

「この会話、どこかエロくないか?」
「・・・こくこく!!」

二人の会話を聞きながら、何故か西園さんと来ヶ谷さんが頷きあっている。
恭介さんが受けとは・・・それもアリですね。などと聞こえたがもちろんスルーした。
人には知らなくていい世界だってあるんだよ・・・

「わふー!!早く井ノ原さんを戻さないとばれてしまうのですっ!!」
「急がないとだよ~」
「・・・まだばれてないのが奇跡的だけどね」

慌てる二人だが既に手遅れな気がしなくもない。
僕たちの存在をにおわせずに、真人をつれ戻す方法なんて存在するのだろうか?
と、みんなで悩んでいると・・・

「あ、俺ちょっとトイレ」

そう言って恭介が立ち上がった。
って、えー!?この大変な時に!?・・・こ、ここは僕が恭介の代わりにしっかりしないと!!
そうやって僕が決意を固めていると、突如無線機から聞き慣れた声が聞こえてきた。 



『うまあああああああああうぅぅぅぅぅぅぅ!!』
『こわっ!!』

こ、この声はきょ・・・斉藤!?

『うおっ!!いきなり斉藤が!?・・・いや、ikinari,saitouga!?』
「言いなおした!!」
「思いっきり日本語だけどね」

ニュアンスだけで英語っぽく見せる真人。
ひょっとして彼ならボディーランゲージだけで海外で通用するかもしれない。
というかボディーランゲージって真人の好きそうな名前だなぁ。
とかどうでもいいことを考えながらも、僕は無線機に耳を傾ける。

『そこのボディビルダー、ついてこい。うまうー』
『OH!!あなたなにするんデスか!?放してクダサ~イ!!』

どうやら、きょ・・・もとい斉藤が真人を連れ出したらしい。
というか真人の外人のイメージって、まるで統一性がないんだね・・・

「お届けものだ・・・うまうー」
「割れ物だからだから扱いに気をつけてくれよ?」

あっという間に真人を連れ帰ってくる斉藤。
ちなみに自称割れ物の真人はこの寒い中ランニング一枚だ。
ご丁寧に顔にはつけひげとサングラス。カツラまでかぶっている。確かにパッと見なら真人と気付かれないかもしれない。
・・・行動でバレバレな気もするけど。

「さらばだ・・・うまうー」
「さ、斉藤が輝いて見えるヨ・・・!!」
「わふー!!カッコイイのです!!」

そう言って哀愁を漂わせながら斉藤は去って行った。 後ろから見るその姿は、どこからどう見ても恭介だ。
何で僕はこれで恭介だと気付かなかったのだろう・・・
恭介は斉藤が消えるや否や、席に戻ってきた。 


「お、真人が戻ってるじゃないか」
「ああ、斉藤が連れて帰ってくれた」
「ふぇぇ~。いったい誰なんだろうね~」
「ミステリです・・・」

斉藤の活躍によって、盛り上がっている一同。
僕と来ヶ谷さんはその様子を見ながら頭を抱える。
なんだこのあほあほワールドは・・・ 


「とりあえずイーサン・真人は失敗だな」
「くそっ・・・悔しいデ~ス」
「それはもういいから」



MISSION FAILED!!



「さて、次のエージェントだが」
「・・・というか、僕たちバイトサボってていいの?」

恭介の言を遮って僕は根本的な質問をする。そもそも今回のミッションはアルバイトだったはずだ。
しかし恭介からの返答は、僕の予想外のものだった。

「ああ。俺たちはもうかなり配り終わったからな」
「へ?」
「俺と来ヶ谷で相当配り終えた。まあ、あとは午後からみんなでやればいいだろ」

・・・さ、さいですか。
もう感心を通り越して呆れてしまい声がでない。

「うむ、まあ胸をはってサボタージュしようではないか」
「さぼたーじゅってなんだ?」
「コーンポタージュのことだ」
「おお!!なるほどな!!」 


『『『『『『『『こいつ馬鹿だ!!』』』』』』』』

ボケボケの真人に大量の鈴ボイスが降り注ぐ。
いつの間にみんなに配ったのさ・・・というか僕にもちょうだいよ鈴ボイス・・・はっ、僕は何を!?
そんな僕の混乱をよそに、盛り上がる場を落ち着けてから、恭介が口を開いた。 



「次は来ヶ谷、任せた」
「うむ、任された」

次は来ヶ谷さんがスパイ役のようだ。
彼女は動きがすばやくて、気配を消すのにも長けている。
スパイには適任といってだろう。

「本ミッションは、「CAT・EATER作戦」と名付ける」
「なるほど「猫を食う者」か。言いえて妙だな」
「・・・また危ないネタを」 

またも危険なネタを使う恭介にみんなでため息をつく。
言っても無駄だということはみんな理解しているので、誰も苦言を呈したりはしない。
まぁそれだけ彼がみんなに愛されているということでもあるんだけど。


「よし、行ってこい!!メスネーク!!」
「そのネーミングはどうかと思います・・・」 




MISSION START!! 




『こちらメスネーク。配置についた』
「よし、では他のスタッフを紹介しよう」 

今度は誰になりきってるんだろう?とにかくノリノリの恭介が無線機に向かって話しかける。
無線を持っている手付きがなんともプロっぽい。

『そんなものが必要か?』
「だから雰囲気だっての。ちなみに俺は大佐だ」
『まあ構わんが・・・』 

今回の恭介は大佐役らしい。
しかし他のスタッフってやはり僕たちだろうか?
・・・何も事前に聞いてないんだけど。

「まずは衛生面の管理を行うパラミオディックだ」
「・・・ひ、ひょっとして私ですか?」
「そう言うことだ。自己紹介頼む」

そ、それはちょっと無茶ブリしすぎじゃない、恭介?
西園さんが困っちゃってるじゃないか。


「ハァイ!!メスネーク。私がパラミオディックよ!!衛生面は任せて頂戴。ところでメスネーク。ボーイズラブって知ってる?」
「・・・」
『・・・』
「・・・少し嫌々すぎたでしょうか?」
「すっごいノリノリじゃん!! 」


相変わらずの西園さんの演技力にみんなドン引きしている。 

「ま、まあ気を取り直して・・・もう一人。武器弾薬のスペシャリスト、ミス・クドリャフカだ」
「え!?私ですかっ!?」

またそういう無茶ブリを・・・
クドには西園さんみたいなスキルはないってば。
止めようとも思ったけどあたふたするクドが何か可愛かったのでそのままにしておいた。

「・・・というか何故私はパラミオディックで、能美さんはそのままなんでしょう?」
「まあ、いいじゃないか。クドリャフカ、自己紹介を」 

至極当然の質問をする西園さんだが、恭介は曖昧に濁して、先を促す。
さてはいい名前が浮かばなかったね?

「あ、あいあむ、くどりゃふかです。あいむ・・・ふろむ・・・」 

日本人丸出しのクド英語・・・個性的で僕は好きだけどね。
ふと気づくと来ヶ谷さんの苦しげな呼吸音が無線機から聞こえていた。


『はぁ、はぁ・・・』 
「メスネーク!?応答せよ、メスネーク!!」 
「来ヶ谷さんっ」
『はっ・・・あまりの可愛さに、危うく天に昇ってしまうところだったよ・・・』

・・・大丈夫か、この人。
物陰に隠れた怪しい人間が荒い息を立てている光景は、はたから見たらストーカーにしか見えない。
気を取り直して恭介は来ヶ谷さんと連絡を取る

「メスネーク。様子はどうだ?」
『ああ、鈴君はなんとか頑張って、ティッシュを配ろうとしているようだ』

へえ、頑張ってるな。鈴。
あの鈴が・・・ずっと恭介の後ろをついてきていた鈴が、ひとりで知らない人にティッシュを配れるほどに成長したんだ。
僕は少し感動を覚えていた。

「フェイスペイントはYAOIがお勧めですよ」
「わふー!!なにやらカッコよさそうなのですっ!!」
「いやいやいや・・・」 

YAOIって何さ・・・西園さん。クドもそっちは明らかに危険な道だから

『確かにいいセンスだ。だがそのティッシュには何のタクティカルアドバンテージもない』
「ティッシュにあったらびっくりだから」

だ、駄目だ・・・ツッコミに忙しくて、感動している余裕がない。
というかツッコミ役が不足してるのが原因だよ。ボケ:ツッコミが9:1なのはいくらなんでも理不尽だ。、
そんなことを考えていると、僕は一つの事に気づいた。 


「あれ、来ヶ谷さんは?」
「姉御ー、もしもーし」

気がつくと、来ヶ谷さんの反応がなくなっていたのだ。 
ま、まさか来ヶ谷さんの身に何かあったのか!? 
焦る僕たちをなだめた後、恭介が落ち着いた声で声をかける。

「メスネーク。どうした応答せよ」
『こちらメスネーク』
「ああ、どうした?」 

恭介は少し安心した様子で、何があったのかを尋ねた。
反応があったことにひとまず安堵の息をもらす僕たちは、それに対する来ヶ谷さんの返答を待つ。



『・・・大佐、性欲を持て余す』
「ぶっ!!何言ってるのさ!?」
『ああ・・・鈴君の背後から忍び寄ってCQCを仕掛けたい』
「それ死ぬから!!」 

ああもう駄目だ、この人!!
暴走しだすと恭介並に手が付けられない・・・!!


「俺、ちょっとトイレ・・・」

その様子を見かねたのか、恭介はそう言って再び立ち上がる。
・・・斉藤出動本日二回目。
御苦労さまです。


『うまあああああああうぅぅぅぅぅぅぅ!!』
『なっ・・・!?きょうモガッ』 
「ほわあ!!ゆいちゃんが~!?」

ほどなくして無線機の向こうに斉藤出現。
正体を洩らしそうになった来ヶ谷さんの口を一瞬でふさいだようだ。 

「きょう・・・?ってなんだろうネ?」
『今日はいい天気だ。うまうー』
「・・・天気の話のようですね」

しかしこれだけ状況が整っても、相変わらず斉藤の正体に誰も気付かない。
本日二度目のアホアホワールドが展開されていた。
まあ僕も人のこと言えないんだけどさ。
しかし斉藤のおかげで、今度の危機も何とかおさまったようだ。


「速達だ。うまうー」
「・・・全く、ここからが面白いところだったというのに」

不満たらたらな来ヶ谷さんを引きずって斉藤が現れた。
・・・また斉藤に助けられてしまった。
いつもなら不気味なあの珍妙な仮面がカッコよく見えてしまったよ。

「斉藤・・・ありがとう」
「ふっ、よせよ理樹。いや、うまうー」 

斉藤が無駄に爽やかオーラを放っている。

「斉藤さんがとてもないすがいなのですっ!!」
「斉藤×直枝・・・アリです」
「ナシだよっ!!」

斉藤はそんな騒がしい僕らを見た後に、哀愁の漂う笑みを浮かべてみせた。
いや、顔全く見えないけどね 。
とにかく「今日の俺は紳士的」な斉藤が口を開く。

「ふっ。もう用は済んだ・・・諸君、アリヴェデルチ。うまうー」

こうして斉藤は僕らのもとから去って行った。
だけど斉藤はいつまでも僕たちの心の中に生き続ける 。

THE  END

そんなわけない。
どこの打ち切りの漫画さ、それ。
とセルフツッコミをしていると、間もなく恭介が帰ってきた。

「ただいま。お、来ヶ谷が戻ってるじゃないか」
「・・・白々しいぞ」

何食わぬ顔でとぼける恭介に来ヶ谷さんがジト目を向ける。
 
「な、なんのことだかさっぱりだ。とにかく来ヶ谷も失敗だな」
「仕方ない。ハンバーガー1個で手を打とう」

それを聞いて溜息をつく恭介。
どうやら来ヶ谷さんの要求をのむようだ。
斉藤のためにならば多少の投資は否めないらしい。
斉藤+投資=斉藤氏。なんちゃって・・・ハイハイ、ごめんなさいでしたぁぁぁぁ!!

「仕方ないな・・・さらば理樹のサイフッ!!」
「ちょ!!おかしいでしょ!?」

何故か僕に斉藤氏を求める恭介に全力でツッコんでおいた。




MISSION FAILED!!




「さて、次のエージェントだが」
「ま、まだやるの?」
「当然だ!!俺達のサンデーデータイムフィーバーはまだ始まったばかりだ!!」

まあいいんだけどさ。
本当に勤労感謝はどこにいったのだろう・・・



つづく



______________________________________
ここまでよんでくれた方ありがとうございます。

ほのぼのコメディ3部作中編です。

あれ、二部作って言ってなかった?

・・・どうせ計画性ないですよ!!ごめんなさいでしたぁぁぁぁぁぁ!!

そしてほのぼのといいつつカオスってる・・・

まあそれがっておい!?クオリティなんですけどね・・・

そしてMGSネタわからない人ごめんなさい・・・


よかったら感想いただけると嬉しいです!!
いつも意欲をもらってます~!!

web拍手も凄い嬉しいです!!

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ニヤニヤしっぱなしだコンチクショー!
いやもうホントにね。どこまでいくんだ理樹くん(笑)

しかしカオスに加えてあほあほワールドまで広がるとは・・・これはもうある種の固有結界!?(別作品ネタ自重)

なにはともあれこれは終局まで見届けねば!この勢いで突っ走ってください!!!!
haiziso 2007/12/19(Wed)23:31: 編集
Re:ニヤニヤしっぱなしだコンチクショー!
いつもコメントありがとうございます!!
そして返信遅れてしまい申し訳ないです・・・ 

理樹君はどこまでもいきますよ~。後編ではさらに・・・?
もう終局までマジで突っ走っていきますよ~!!見守っていただけると幸いです!!

今後ともよろしくお願いします!!よいお年を~

【2007/12/23 20:30】
thank you!! and merry christmas!!
メリークリスマスです!!
そしていつもweb拍手ありがとうございます!!

皆さんの暖かい声、いつもとてもうれしく思っています!!


12月19日

> オタコンも出そうぜ!
しまったー!!その手がありましたか!!そしたらクドでロリコンとかできましたね…おしい事をしました~


>斉藤がかっこいい!うまぁあう~!
今回の斉藤はとても紳士です!!…斉藤の色気がわかるとは、さすがですね!!うまぁぁぁう~


35件の拍手ありがとうございました!!


12月20日
>理樹に萌えたおれはいけない子でし

いえいえ、理樹君は最強の萌キャラの一人ですよ!!…後編ではなんと…

>筋肉スパイラルDAAAAAAAA
こ、これは…筋肉のデフレスパイラルや~!!

>筋肉はとってもぷらいしゅれしゅ
真人との筋肉祭り…それはとってもプライスレス

23件のweb拍手ありがとうございました!!



12月21日
>MGS・・・b
もう使っていいのか迷いましたが、思い切って使ってみました!!おもしろかったんラよかったです!!


>っておい!さんの作品をもとに動画で作りたいくらいですねぇ… 感動です;;
いえいえ、まだまだハッキリ言ってレベル低いですが、感動していただけたならうれしいですね!!動画ですか…作ってくれる人いたら本当にうれしいですね!!

33件のweb拍手ありがとうございました!!


12月22日
1件のweb拍手ありがとうございました!!


12月23日
9件のweb拍手ありがとうございました!!

っておい!? 2007/12/24(Mon)21:08: 編集
ふっふっふ…
笑い止まらなくてどうしてくれますかておいさん。
この中編は、トップギアを超えてマキシマムギアに到達したっ。
イーサンて、絶対井ノ原の「井」だと思ってたら出席番号でしたかw
そして理樹君の苦労。これ=面白さですネ。
唯ねぇはもう笑うしかない。後編期待期待です。

最後に、ておいさんの描くみおちんの壊れっぷりは異常です。
sou^ 2007/12/27(Thu)18:47: 編集
Re:ふっふっふ…
コメントありがとうございます!!
もういつでもトップギア…と思ったら超えた!?少し自粛しないとだんだん恐ろしい事になりますね…

イーサン君とは鈴ルートでのネタです。それでハントを思い出した俺は少数派ですよね…
ああ、確かに理樹君が苦労しないとなかなか面白くできませんね…まあそう言うキャラなんでしょうが、スマン理樹君。

姉御はMGSネタ大丈夫かな~と思いながらもつっぱしりました。面白かったなら嬉しいです!!

後編も読んでいただけると嬉しいですっ!!

ちなみにみおちんはマイフェイバリットキャラですよ?一応。


【2007/12/28 02:53】
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