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「寒いね・・・」

ある冬の一日僕たちは僕の部屋に集まっている。
昨日から降り続いた雪で外は一面の銀世界。
雪はもうやんだようだが、それでもこの寒さまでそう簡単に消えるはずもなく・・・。

「ああ、俺の筋肉もあまりの寒さにオギオギしてるぜ」

それはどんな状況なんだろう。
さすがの真人もこんな日まで外で筋トレとはいかないようだ。

「うーみゅ・・・」

鈴は僕の布団にくるまってウトウトしている。
まるで本物の猫のようだ・・・。

「お前ら、リトルバスターズジャンバーがないからそうなるんだ」

謙吾は胴着にジャンバー姿。もちろん裸足。
いや、もはやジャンバーがどうとかじゃないよね・・・。

_________WARMING SNOW 前編__________




「しょうがねえ!!俺の筋トレで部屋を暖めてやるぜ!!」

そういって腹筋を始める真人。
結局こうなるのか・・・。

「そんなものなくても・・・俺の心はいつでもホットだ!!」

いや、何を対抗してるの謙吾・・・。

「ところで恭介は?」
「さすがの恭介もこの寒さにやられたんじゃねえか?」

恭介に限ってそんなことはないと思うけど。
さすがにこれだけ寒いとこっちから出向くのも億劫だ。

「いいじゃないか。たまにはこうしてまったりとした時間を過ごすのも悪くない」
「さっきいつでもホットって言ってたよね・・・」

でも謙吾の言うとおり、こんな寒い日はのんびり過ごすのも悪くないと思う。
そんなことを考えていると・・・
部屋の扉が勢いよく開かれ、


「またせたな!!いくぞ、お前ら!!」

恭介が大声をあげた。

「いよっしゃああああああああああああああああああ!!」
「って謙吾!?さっき言ってることと態度が違うじゃん!?」

思わずツッコむ。
謙吾はノリノリのようだ。

「こんな寒い日まで遊ぶのか?俺の筋肉も寒すぎてゾギゾギしてるぜ」

真人は訝しげに聞く。
いや、さっきと表現変わってるから・・・

「寒いからこそ遊ぶんじゃないか!!みんなで遊べば寒さなんて吹きとぶぜ!!」

恭介はキラキラとした瞳で語りかける。

「それに雪の中で大騒ぎをすると筋肉に冷たい血液がいきわたって、翌日からの筋トレの効果が倍増するんだぜ」
「え!?マジかよ!?・・・早くいこうぜ!!」
「速攻でだまされないでよ!!」

真人は即効で懐柔されたようだ。
正直・・・僕はあまり乗り気じゃない。

「理樹・・・」
「・・・何?僕は真人みたいに簡単には・・・」

「好きだぜ」

うわあああああああああああ!!
何を言い出すのさっ!?恭介!!

「え、っとその・・・いや恭介。気持ちは嬉しいけど僕には鈴がね・・・。恭介のことは大好きだけど・・・ってああ!!そういう意味じゃなくて!!」

自分の顔がどんどん熱くなっていくのがわかる。
汗が止まらない・・・!!

「ずいぶん暑そうだな?外にさましにいこうぜ」
「!!・・・くっ・・・」

どうやら恭介にはめられたようだ。
いまさら気づいても遅い・・・。

僕の純情を利用するなんて・・・って何いってるんだ僕は!?

「あとは・・・鈴だな」

丸くなっている布団に視線をむける恭介。
一瞬ビクッと布団が反応した。

「鈴?」
「・・・はりゃほれうまう~」
「・・・なんだ斉藤か・・・ってんなわけないだろっ!!」

さすが恭介・・・ノリツッコミも完璧だ。

「あたしは真人だ」
「そうか・・・それじゃあ筋肉旋風だ!!」
「う、・・・きんにく・・・って言えるかぼけー!!」

布団から飛び出た鈴が真人にハイキックを浴びせる。

「何で俺なんだよ!?今のは恭介だろ!?」
「やっぱり鈴じゃないか」
「う・・・」
「って俺のセリフをながすなあああああああ!!」

ああ・・・哀れな真人・・・・
というか鈴もバレバレだから

「いやだっ!!寒いっ!!絶対にいかない!!」
「・・・そうか。それじゃあ仕方ない」

強情な鈴に恭介がため息をつく。
さすがの恭介も妹の頼みは聞く気になったのだろうか?

「真人」
「はっ」
「謙吾」
「御意」

「!?何だお前ら!!・・・はなせー!!」

思いっきり力づくでつれだしていた!!
真人の脇に抱えられる鈴。
鈴はじたばたと暴れているが、真人は涼しい顔だ。

「で?どこにいくの恭介?」
「こんなに雪が積もってるんだぜ。そんなの決まってるだろ」
「滝行か!!」
「いやいやいや。死ぬから」

相変わらず謙吾のネジは緩んでいるようだ。
いやすっぽ抜けているのか?

「ふっ、俺を甘く見るなよ?」
「じゃあ、どこなんだよ?さぞかし凄えとこなんだろ?」

真人がオギオギしながら恭介に聞く。
僕も少し期待してしまう。


「庭」

「「「「えー」」」」

あまりに普通の答えに僕らは声を揃えてしまった。
いや、確かに雪があるんだから庭で十分だろうけど・・・



なんだかんだで庭にでる僕ら。

「うおおおおお!!寒いいいいいいいいい!!」

とか言いながらも恭介は雪の中を走り回る。
本当にいつまでたっても童心をわすれないなあ・・・
まあ、そこがいいところなんだろうけど。

「勝負だ!!謙吾!!」
「ふっ・・・いいだろう」
「また勝負?好きだねえ・・・」

雪の中でもこの2人はやることは変わらないらしい。

「で?何で勝負するの?」
「「かまくら」」

・・・地味だ。
まあ本人達がよければいいけど。
僕は2人を見ながらため息をつく。

「・・・鈴?何してるの?」
「見てわからないか?」

鈴は嬉々として雪玉を転がしている。
あれだけ文句言ってたのに雪を見るとコロッと態度かわるんだから・・・
多分恭介はこうなることわかってたんだろうな・・・。

「う~ん、ゆきだるま?」
「違う。りきだるまだ」
「?ゆきだるま?」
「いや、理樹にそっくりなだるまだから、りきだるまだ」

なるほど・・・ゆきだるまで僕を作ってくれるのか。
彼氏としてそれは嬉しいけど・・・なんか気恥ずかしいな・・・。
せっせと雪を転がす鈴を僕は和みながらみていた。

「なるほど、そいつはいいな」
「恭介」

後ろを見ると恭介が立っていた。
その顔はとても楽しそうだ。

「鈴、俺も手伝う。大きいの作ってやろうぜ」

恭介の言葉に鈴はうなずく。
そこに真人と謙吾も集まってきた。

「2人ともかまくらはどうしたの?」
「いや、あまりにむなしかったからな。それよりこっちの方が楽しそうだ」
「よっしゃ!!とびきり豪華なの作ってやろうぜ!!」

そういって鈴のところに集まる4人。
みんなで僕のゆきだるまをつくってくれるのか・・・。
僕はなんだか胸がいっぱいになってしまった。

「よし、僕も・・・!!」

僕もその輪に加わる。
自分のゆきだるまを作るのは少し恥ずかしいけど・・・

「よし。みんなで手分けして作ろう」

恭介がそう提案する。

「ならば俺は体を作ろう」
「じゃあ俺は頭だな」
「あたしは枝とかで顔や腕を作る」
「俺は上腕二頭筋でいいな?」
「よくないから」

相変わらず真人のボケはすさまじい。
敬意を払いながらきっちりとツッコミをいれる。

「何だよ?なら胸鎖乳突筋でもいいぜ」
「いやいやいや。ゆきだるまに筋肉はいらないからね」
「え!?そうなの!?」

真人はショックを受けているようだ。

「せっかく「こ、これが理樹!?見違えたぜ」ってくらい筋骨隆々なやつを作ってやろうと思ったのによ!!」
「それはもはや僕のだるまじゃないから」

そんなこんなでみんなで手分けしてりきだるまを作った。
笑いながら作っているうちに寒さなんて忘れていた。
なかなか大きいサイズだったが、みんなで手分けをしたからか・・・それともとても楽しかったからか・・・あっという間にりきだるまは完成した。

「ひゅうっ、完成だぜ!!」
「ああ・・・なんてロマンチックなんだ・・・」
「筋肉は不足してるが・・・ナイスな出来だぜ!!」
「うん!まさにりきだるまだな」

4人はとても満足そうだ。
いや確かに完成したんだけど・・・
少し聞きたいことが・・・

「あの・・・どの辺がりきだるまなの?」
「何い?完璧じゃないか・・・」

鈴は完璧と言い張るってるけど・・・
どうみても普通のゆきだるまだ。

「えっと・・・特徴は?」

僕は鈴に聞いてみる。
すると鈴はこう答えた。

「とりあえず特徴がない」
「え?」
「特徴がないのが特徴だ。りきだるまは」

・・・・・・・・・・・・
どうやら僕は特徴がないのが特徴らしい・・・
・・・ショックだ・・・

「どうした?何を落ち込んでいるんだ?」

鈴が戸惑っている。
本気でわからない様子だ。
彼氏として相当ショックなんだけど・・・

「大丈夫だ。理樹」

恭介が僕の肩を叩く。
励ましてくれるのだろうか。

「お前にも立派な特徴があるじゃないか」
「・・・恭介・・・」
「たとえば・・・」

恭介は僕の方を見ながら満面の笑みで言う。




「ツッコミとかな!!」


そんな特徴嫌だあああああああああああああ!!
というかそれをりきだるまでどうあらわせというのだろうか・・・

とりあえずりきだるまの腕はツッコミの形になったのだった・・・


__________________________
2部作二回目です。

今回はほのぼのコメディというなんとも言えないジャンルになりましたがどうでしょう?

少しでも楽しくて暖かい雰囲気がだせてればうれしいです!!

感想いただけると嬉しいです!!


今回の未収録シーン

「よっしゃ、完成だぜ!!」
「真人。もうゆきだるまできたの?ってうわ!?」

どうみてもゆきだるまとよべる代物ではない。

「ちっちっち、あまいな理樹・・・こいつはゆきだるまじゃない」
「・・・じゃあなんなの?」


「筋肉ダルマだああああああああ!!」

・・・スイマセン

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無題
手違いで中編を張り付けている部分があったので・・・修正しました。
申し訳ありませんでした
っておい!? 2007/09/30(Sun)11:59: 編集
リキ・カスタムっ!
これはよい日常系ほのぼのギャグ。
所々の小ネタがいいカンジです。ゾギゾギってなんだww
昨日今日と突然寒くなって、リアルで布団で丸まる鈴状態だったんですが、ちょっぴりだけ心が温かくなった気がしますー。
中編・後編と続くようですが、次回で他のメンバーも出るのでしょうか?
楽しみであります!
REI URL 2007/09/30(Sun)13:30: 編集
Re:リキ・カスタムっ!
REIさん感想ありがとうございます!!
REIさんのようなうまい方に褒められるとうれしいです!!
確かにめっきり寒くなってしまって、外にでるのも億劫になりますよね・・・
自転車が特にヤバイ・・・
中編後編では、リトルバスターズ全員集合!!するのでしょうか・・・
ノープランなんで・・・
よかったらまた見てください!!
【2007/09/30 22:05】
いやいやいや
何言ってるんですか?
理樹の特徴はツッコミではなく女顔ですよ。
いやむしろ女の子ですヨ
ねこねこ 2007/09/30(Sun)14:19: 編集
Re:いやいやいや
コメントありがとうございます!!
確かに理樹は女顔ですよね~。女装した時も違和感なかったらしいし。
ツッコミもできるベビーフェイスってことでここはひとつ・・・
また感想いただけると嬉しいです!!
【2007/09/30 22:08】
はじめまして
初めまして、ここてつというものです。
キャラ同士のノリや掛け合いが、まるで本編を読んでいるようでとっても面白かったです。
特に理樹のツッコミっぷりはホントに笑わせていただきました。
続き楽しみにしています!!
ここてつ URL 2007/10/01(Mon)17:35: 編集
Re:はじめまして
はじめまして~。
感想ありがとうございます!!
やはりキャラ同士の掛け合いあってこそのリトバスだと思うんで、少しでも再現できていたら嬉しいです!!
ツッコミって実はすごいと思うんですよね・・・ボケを活かすも殺すもツッコミ次第・・・そういう意味で理樹ってすごいのでは・・・!?
またよかったら感想いただけると嬉しいです!!
【2007/10/01 22:57】
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