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リトルバスターズSSサイトです。 50000hit!!ありがとうございます!! 管理者メールアドレスmaio7749@yahoo.co.jp
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「メリィィィィィィィィィィィィィィィ!!クリスマァァァァァァァァァァァァァァス!!」

のっけからハイテンションの恭介に僕は苦笑をする。
それもそのはず、今日は12月24日。クリスマス・イヴなんてリトルバスターズにとって格好のイベントだ。
こんな日に彼…恭介が大人しくなんかしているわけがない。
例年通りクリスマスパーティを開いたと思ったら、開始と同時にフルスロットル。
営業時間の終わった食堂には、まだ他の生徒もちらほらいるが、彼はそんなことお構いなしだ。



「メリークリスマスだよ~!!」
「やははー!!メリクリー!!」
「メリークリスマスです」

もっとも…ハイテンションなのは恭介だけじゃない。周りを見てみるとみんなすっかり浮かれ切っている。

「どうした!?ノリが悪いぜ理樹!!」

赤い衣を身にまとい、サンタに扮した恭介が僕に声を掛ける。

「僕だって十分楽しんでるんだよ?…ただみんながあまりにハイテンションすぎるだけで」
「いや、お前はまだ限界を突破していないはずだ!!…そのリミッターを今こそ解除しろ!!」
「いやいやいや、そんな熱い展開必要ないから」

恭介の隣に佇むトナカイの格好をした謙吾に素早くツッコむ。
というかそんな格好でかっこいいセリフ言われても…

「はっ、キンニクリスマスだってのに、お利口なやつだぜ」

そんなツッコミ所満載なセリフを言ったのはもちろん真人。
ちなみに彼の場合、格好もツッコミ所満載でソリのコスチュームを着ている。
はじめソリの格好をしろと言われた時は、流石に真人も抵抗したが、恭介が「ソリは人を乗せるんだからな。一番筋肉がある奴がいいんだが」と言ったら、コロッとOKしてしまった。相変わらず恭介にいいように操作されている。
そんなこんなで恭介、謙吾、真人の3タクローズ(恭介命名)はのっけから絶好調だ。

「理樹君はいつものように上半身裸になって、メリークスリノミマース!!と叫ばないのか?」
「いや、いつやったの!?そんな犯罪行為!?」
「ふむ、確かにノリが悪い。こんなに可愛い娘たちとクリスマスを過ごせるというのに、少年は何が不満なんだ?」
「強いて言うなら来ヶ谷さんの今の台詞かな…」

いつも通り暴走する来ヶ谷さん。ミス・フリーダムの異名は伊達じゃない。
この人はクリスマスでもこうなのか…



「よし、リトルバスターズ全員集合!!」

突如、食堂に恭介の声が響き渡る。
その声で今までケーキを食べていたり、話し合っていたりと思い思いの行動をとっていたメンバーがひとつの輪のように集まる。


「きょーすけ。何をするんだ?」
「事前に言ってあっただろ?これだよ、これ」

そう言って恭介は懐からプレゼント用に包装された箱を取り出した。

「クリスマス定番イベント!!プレゼント交換ターイム!!」
「おー!!」

そう言って高々とプレゼントをかかげる恭介にみんなが歓声を上げる。
ああ、やっぱりいいな。こういうの…

「ルールは簡単。この箱の中から一本クジを引き、そこに書いてあった名前の奴が用意したプレゼントをもらえるというわけだ」
「自分の名前を引いてしまった場合はどうするんですか?」
「その時は引きなおし。さすがに自分のプレゼントをもらってもうれしくないからな」

西園さんの質問に答えた恭介は、他に質問がないのを確認するとクジの箱を取り出した。
そしてニヤリと不敵な笑みを浮かべると、みんなに向かって質問した。

「みんな、しっかり「こいつ本当にこんなの持ってくるとは…」と思わず言ってしまうようなプレゼントは用意できたか?」
「いや、誰もそんなもの用意してないから」

いつものように恭介の無茶苦茶な言動に僕がツッコむ。
ただ、それだけのことなのに、なんだか楽しくなってしまう。
なんだかんだで僕も相当クリスマスで浮かれているらしい。

「さて、トップバッターだが…」
「はるちんにお任せ!!」
「よし、じゃあ三枝から時計回りな。何か文句のある奴は?」

どうやら誰も不満のある人はいないらしい。
恭介はその様子を満足気に眺めると、葉留佳さんに向かってクジの入った箱をのばした。

「これか!!それともこれかぁ!?いやいや、実は引っ掛けで…」
「いや、そんな迷わなくても…そもそも引っ掛けとかないし」
「早くしろよぉ!?こっちはもう待ち遠しくてボキボキしてんのによう!!」

ボキボキ…筋肉の圧力に骨が耐えきれなくなったんだろうか…?
葉留佳さんはその後もなんだかよくわからない推理(NYS)をしていたが、最終的になんだかよくわからない結論(NYK)にたどり着いたらしく、勢いよくクジを引いた。

「キター!!姉御のプレゼントゲットォォォ!!」
「うむ、それは良かったな」
「うわぁ…」

葉留佳さんははしゃいでるけど、それは間違いなく地雷の一つのような気がする…
目が輝いている来ヶ谷さんを横目に見ながら、僕は葉留佳さんの冥福を祈った。

「ほら、受け取るがいい」
「あざーす!!姉御!!開けていいデスカ!?」
「ああ、好きにするといい」

来ヶ谷さんの許可を得て、葉留佳さんが包装を外していく。
しかし随分大きいプレゼントだなぁ。
中身は一体何なんだろう。

「あ、姉御…こ、これは一体?」

葉留佳さん絶句。
やっぱり地雷だったか…結局何だったんだ?
気になった僕は背伸びして葉留佳さんが持っているプレゼントを覗き見た。
そこにはたくさんのサンタのコスチュームを着たサダが子供たちにプレゼントを配っている絵が…な、なんだこれ?

「サダクロース2007だ」
「しかもみんなカメラ目線なんですケド…」

こ、こいつ本当にこんなの持ってくるとは…
トップバッターから恭介の望むようなリアクションを取ってしまう僕。
葉留佳さんも思わず苦笑してしまっている。

「さぁ、あまり時間もないからな次行こう。ほら、能美」
「は、はいっ!!」

開いた口が塞がらない葉留佳さんをスルーして、恭介がクドへと箱を伸ばす。
まぁいきなりハードルが高かったけど、そんな地雷は連続ではでないだろう。

「宮沢さんですっ!!」

ズコー!!
じ、地雷パート2きた!?
今の謙吾のポテンシャルは真人をも超えるものがある。
今回のプレゼントも普通な物とは考えにくい…ジャンパーとか、ジャンパーとか、他にはジャンパーとか。

「ほら、能美。これをやろう」
「わふー!!竹刀なのですっ!!」

あ、あれ?
予想に反して謙吾がチョイスしたのは竹刀だった。
もっとぶっ飛んでたものかと思ってたよ…疑ってゴメンね、謙吾。
とても嬉しそうなクドを見ながら心の中で謙吾に謝罪する。

「かたじけのうござるっ!!」
「うぬごときにわしが切れるかー!!」
「む、無念なりー…」

葉留佳さんと小毬さんの両サイドから新聞紙ブレードで叩かれるクド。
そしてそれをみながらよだれをたらす来ヶ谷さん…っておい!?

「ほらほら、小毬。お前の番だぜ」

さっきまでアタッカーだったにもかかわらず、いつの間にか二人に袋叩きにされている小毬さんに恭介が話しかける。
変わり身早っ!!

「うあーん、助かったよー!!」

新聞紙ブレードの攻撃から何とか脱出した小毬さんが、涙目になりながらクジを引く。
ここまで来ヶ谷さん、謙吾と非常に濃い展開だったが、さ、さすがにここで恭介とかいう地雷は…

「恭介さんだよ~」

ガシャーン!!
あまりに空気を読んだ展開にまたも古典的なリアクションを取ってしまう僕。

「俺のプレゼントはヤバいぜ…どれくらいヤバいかと言うと、眉間によったシワでアートができるくらいだ」
「そ、それは楽しみだよ~」
「いや、明らかにそれマイナス方面だよね…」

溜息をつく僕をよそに、小毬さんが包装をといていく。
中から現れたのは…缶詰だろうか?
疑問に思ってか、小毬さんはその缶に顔を近づけ、そこに書かれた文字を読んだ。

「えっと…『キューバの空気』?」

グワラゴラガシャーン!!
ああもう、僕はあくまでツッコミキャラで、こんな派手なリアクションをとるキャラじゃないのに!!
というかなんでキューバなのさ!?

「どれも等しく空気さ」
「いや、そりゃそうだけどね…」

僕の疑問を察知したのか、得意げに言う恭介に僕はツッコむ気力も起きなかった。
こうしてカオスなプレゼント交換は進んでいった。
僕のプレゼントは鈴の手にに渡った。用意した写真立ては「普通すぎる」とみんなから非難されたが、鈴が嬉しそうだったので何よりだ。
さらに鈴のプレゼントは僕が貰った。「できすぎだ」というみんなの声が恥ずかしかった。まぁ最後にプレゼントはモンペチというオチがついたわけだが。
とにかく常時ハイテンションで、だけれども本当に楽しく僕らのパーティは続いていった。途中恭介が用意したジュースを飲んでから、妙に体がフワフワしたり、呂律が回らなかったりするけどもう気にしない。
きっと毎年このパーティは開かれて、こうやってみんなで笑いあうんだろう。そんな当然な、いやそれが当然なことが嬉しくて、僕は頬を緩めてしまう。



「おい、理樹。今暇か?」

少し疲れたので、ひとりで休んでいる僕に恭介が話しかけてきた。

「あ、うん暇だけど。何?恭介」
「中庭にいってみろよ。俺からのクリスマスプレゼントだ」
「中庭…?」

そういった恭介は僕の肩を叩くやいなや、すぐに背中を向け、みんなの所へと歩いていった。
プレゼント?相変わらず唐突なことを言い出す…
だけどそう言われてしまっては行かないわけにはいかない。僕は上着を羽織るとすぐに中庭へと向かった。



もうすっかり冬ということもあって、夜風がとても冷たい。だけど火照った身体には、普段なら身震いするその寒さすらも心地よかった。

「クリスマスプレゼントって…どこにあるんだ?」

というか、なぜわざわざ中庭なんだろう?直接手渡してくれればいいのに…
と、考えながら僕がプレゼントを探して周りを見回していると、同じようにあたりをキョロキョロ見まわす鈴とはち合わせた。

「り、鈴!?…どうして?」
「きょーすけが中庭にクリスマスプレゼントがあるっていったから捜しに来た。理樹は?」
「…僕も鈴と同じだよ」

これはどういうことだ?僕と鈴の二人へのプレゼントということなのだろうか?
そんなことを二人で話しながらあたりを見回すが、真っ暗になった中庭からプレゼントを捜索するのは困難を極めた。
少し疲れた僕と鈴は中庭に設置されているベンチへと腰をかけ、僕が買ってきたココアで一息ついた。

「ふー、ふー」
「はは、火傷しないようにね」
「子供扱いするなっ。…で、結局馬鹿兄貴のプレゼントっていうのはなんだったんだ?」
「うーん、わからないな…。ひょっとしたら物じゃないのかも」
「物じゃないプレゼントって何だ?」
「そうだなぁ……あ」

そこで僕は一つの答えに気づく。
そう。今日はクリスマス・イヴ。一年の中でも恋人達がデートするのに最もふさわしい日のひとつだ。
ああやってみんなですごすクリスマスというのはとても楽しくて、そのことに不満なんてないけど、鈴と二人きりですごすクリスマスっていう選択肢もあってよかったと思う。
恭介はきっとそんな僕たち気を遣ってくれたんだ。

「なんだ。一人で納得したような顔して。教えろっ!?」
「え、うーん…内緒」

不満そうな鈴だが、改まって言うとなるとなんだか恥ずかしい。僕は思わずにやけた顔を隠そうと、鈴から視線をそらしてしまう。
だけどせっかく恭介が気を遣ってくれたんだ。今はこの二人の時間を楽しもう。どうせ誰も見ていないんだ。
…と僕は考えたところで、はっと冷静になる。

「話がうますぎる」
「んん?」

そう、話がうますぎるのだ。
思えばこんな風に恭介が気を遣ってくれたことは何度もあった。
だけどその度に恭介は無線機を使って僕たちの動向を監視していたのだ。それで何度恥ずかしい目にあったことか…
だけど今回は甘かったね、恭介!!事前に気づいてしまった僕の勝ちだよ!!

「理樹…何笑ってるんだ?恐いぞ…」

フフフ…どうせ今回も僕の体のどこかに盗聴器がついて、離れた場所からみんなで監視してるんでしょ?
だったらそれをまっ先に見つければいいだけだよ!!

「…うにゃ!?なんでいきなり服脱ぎだしてるんだ!!」

上着か…?ひょっとしたら内側に仕組まれてるかも知れない。いや、待てよ。シャツかもしれないしズボンの可能性だってある。
僕は恭介の策を破れるかも知れないという興奮で、我を忘れて服を脱ぎ捨て、それらを入念にチェックした。
しかし僕の服からは盗聴器はおろか、怪しいものすら見つからない。

「理樹…!!服を着ろっ!!」

しかしここまで捜しても見つからないとは…。はっ!?まさか…。

「鈴」
「ふにゃっ!!」

パンツ一丁でゆらりと鈴の方を向く僕を見て、鈴が怯えたような声を出す。
仕掛けられたのが僕じゃないとしたら…可能性は一つしかない。

「鈴…服を脱いで」
「なにぃ!?」

呆気にとられたという鈴の表情。

「ああもう。仕方ないな…僕が脱がせてあげるよっ!!」
「!?!?!?!?」

そう言って僕は、鈴の制服に手を掛け、ボタンをひとつずつ外していく。鈴はあまりの事態にテンパってしまって、僕の動きに対して全く反応できないようだ。
脱がせた鈴の上着を入念に調べるが、何も怪しいところは見当たらない。そうなると…シャツ…あるいはスカートか?
そう思い立つと、僕は鈴のスカートへと手を伸ばす。

「…よいしょっと」

僕の手が、鈴のスカートのホックを外そうとしたその瞬間…

「ふかぁぁぁぁぁぁ!!」

鈴渾身のハイキックが僕の側頭部にクリーンヒットした。



「本当にゴメン…」
「理樹はケダモノだっ!!寄るな、このド変態!!」

そう言ってそっぽを向いてしまう鈴。どうやら完全に怒らせてしまったようだ。
ああ…僕はなんて事を。完全に冷静さを欠いていた。
恭介のジュースを飲んだ時からなんだか調子がおかしい…頭がフラフラするというか、うまく働いてくれない。
それにしても真人はいつもこんなキックを受けて平然としていたのか。
まだ頭が痛いよ…。

「ごめんって…機嫌直してよ…」
「……(ぷいっ)」

僕は必死に弁解するが、鈴はムクれてしまって僕の話を聞いてくれない。
うう、本当に馬鹿な事をしてしまった…。
どうにかして鈴の機嫌を直さないと、このままでは最悪のクリスマスになってしまう。

「鈴、お願いっ!!許して…なんでもするから」
「なんでも…?」

僕の言葉に鈴がピクリと反応する。

「う、うん!!なんでもするよ。掃除、洗濯、猫の世話でも!!」

「チャンスだ」と判断した僕は、ここぞとばかりにたたみかける。
なんだ、この浮気がばれた夫みたいな情けない心境は…
すると鈴は僕の方に振り返ると、耳まで真っ赤にしながら僕に向かって命令した。


「…あ、あたしにキ、キスしろ」
「うん!!まかせて!!そんなのお安いご用…って」

そこまでいって鈴の言葉の意味にようやく気付く。
えぇぇぇぇぇぇ!?き、キスって…てっきり嫌われちゃったと思ってたのに、これはどういう意図なんだろう。
そ、それとももしかして鈴も、本当は僕といちゃいちゃしたかったんじゃ…なんてね、それは少しうぬぼれすぎかな。

「や、優しくしてくれ…さっきの事を忘れさせるくらい…」

そんな鈴の弱々しい声にはっとなる僕。
ああ、なるほど…きっと鈴はさっきの僕が怖かったんだ。そんな僕のイメージを払拭してほしかったんだ。
女の子にそんなことを思わせてしまうなんて、僕は彼氏失格だ。
そう思うと無性に自分に対して怒りがこみ上げてくる。
僕は自分への戒めの意を込めて、自分の頭を思いきり殴った。とても重い痛みが僕の拳と頭を襲う。

「り、理樹!?」
「大丈夫。ごめんね鈴。怖がらせちゃって」
「…うん」

いきなり自分の頭を殴る僕を心配していた鈴だが、僕がそう言って優しくほほ笑むと、彼女も安心してくれたみたいだ。
鈴は恥ずかしそうに笑うと、目を閉じて僕の口づけを待つ。とても無防備なその姿は、僕に全てを任せているようだ。
や、ヤバイ…滅茶苦茶かわいい。

そんな鈴の愛らしい唇に吸い寄せられるように僕は自分の唇を…


「ん?」
「ど、どうした理樹…?」

重ねようとしたところで僕の視線の先、植え込みに何かがいる事を発見する。
ピ、ピンクのツインテール…!?そんな髪型をしている人は僕は一人しか知らない。
声をかけようとするとその髪は一気に引っ張られ、植え込みへと消えた。「ヒドいっすヨ、姉御!!」とか言う声まで聞こえてくる。
こ、これは…

「鈴。ちょっと待ってて」
「う、うん」

僕は鈴に優しく笑いかけると、ベンチからその場に立ちあがり、夜だということも厭わずに大声をあげた。

「でてこいやあああああああああああああああ!!」





「全く、理樹君。大晦日はまだ早いぞ」
「いや、そう言う問題じゃないから」

僕の大声に応じて、植え込みからでてきた来ヶ谷さんと葉留佳さんに僕はジトっと視線を向ける。どうやら小毬さんとクドも一緒だったらしく、後ろから申し訳なさそうに登場した。
全く…またこのパターンか。
まだ西園さんと真人と謙吾、それにおそらく主犯の恭介が出てきてないが、間違いなく隠れているとみていいだろう。
…言ってるそばから真人と謙吾を発見。木の後ろに隠れているらしいが、二人の巨体を隠しきれず思いっきりはみ出している。

「真人、謙吾!!」
「ざわざわ…」

真人が場に臨場感を出す効果音を立てる。
いや、全くごまかせてないから。

「二人とも、普通にばれてるから」
「ミーンミンミンミンミンマーーーン!!」

往生際が悪いな。
しかし蝉の真似って…今12月だから。
マンマン蝉?の鳴き真似をする謙吾に呆れながらも、僕はいまだごまかそうとしている二人を捕獲した。

「後は…西園さんと恭介か」
「みおならそこにいるぞ」

鈴の指さす先を見ると、真っ暗の中本を開いている西園さんが…それはさすがに目に悪いよ?
西園さんは僕の視線に気づくと、ギクシャクとしながら僕らに向かって挨拶した。

「あ、直枝さんに鈴さんじゃないですか、奇遇ですね」
「いやいや、何が「奇遇ですね」さ!!明らかに覗いてたよね!!」
「それは違うよワトソン君」
「確かに演技はうまいけど、普通にバレバレだから…」

とにかくこれで西園さんも確保。残る犯人はは恭介一人だ。
しかしさすがは遊びの天才、棗恭介…周囲を探しながら中庭を周るが、一向に恭介は見つからない。

「一体どこに…」
「ここ」
「ああ、そこか…ってうわぁ!?」

恭介の声がした方向、即ち真上を見上げると屋上から伸びたロープにぶらさがる恭介がいた。
しかも着ている服は真っ黒で、完全に夜の闇と同化している
何してんだ、アンタ…

「全く、せっかく暗視ゴーグルと指向性マイクまで用意したってのに、バレるの早いっての」

恭介は今回の彼らにとっての戦犯である葉留佳さんの方を見ながら溜息を吐く。
…いや、ちょっと待って下さい?今何を用意したって言いました?…彼はどこぞの国のスパイでもやってるのだろうか?
などといつも通りの恭介の無茶苦茶ぶりに呆れていると、必死に弁解する葉瑠佳さんの声が聞こえてきた。

「い、いや、でもでもいいじゃないデスカ!!…ケダモノな理樹君も見れたことだし」
「うわぁぁぁあ!!また新たなトラウマがぁぁぁぁぁ!!」

そうだったぁぁぁぁ!!鈴とのいちゃいちゃだけならまだしも、さっきのあんなことやこんなことまで見られてたなんて…前も言ったけど穴があったら入りたいっ!!

「確かに強くなった理樹の姿を見れたのは嬉しかったが…」
「嬉しかったの!?あの状況が!?」
「せっかくの最後の仕掛けを無駄にしたと思うと…な」

そう言ってガックリとうなだれる恭介。
そのあまりの残念そうな姿に、僕たちは明らかに何も悪くないにもかかわらず、何故か謝りたくなってしまう。
しかし、…最後の仕掛け?いったい何を…?

「…いいじゃないですか。こうやってみんなで楽しむのも一興だと思いますよ」
「まぁ、確かにそうだな…」

西園さんのフォローにいじけていた恭介が少し元気を取り戻す。

「そうだよー。せっかくだしみんなでパーっとやりましょう!!」
「諸手を挙げて大賛成ですっ!!」
「…そ、そうか?よっし!!最後に一発派手にやるか!!」

その後もみんなで励まし続けると、恭介はさっきの落ち込みようが嘘のようにパァッと満面の笑顔を見せる。
こ、子供か、アンタは!?

「これがクリスマスナイトフィーバーの締めくくりだ!!野郎どもっ、盛り上がっていくぜっ!!」
「おー!!」
「な、なんだ?」

恭介の掛け声にみんなが盛り上がる。
僕と鈴は何が何だかサッパリわからないという表情で、盛り上がるみんなを眺めていた。
盛り上がる一同の中、最後にチラッと僕らの事を見た恭介は、不敵にニヤリと笑い、右手で高く掲げたスイッチを押した。
ふいに…僕らの目の前が光に包まれた。

「わぁ…」

そのあまりの光景に僕らは思わず言葉を失ってしまう。
まばゆいばかりの光を放つのは、僕らの目の前にそびえ立つ中庭の木々。
クリスマス・イルミネーションに彩られたそれらは、普段の姿からは想像できないほど美しく、まさにクリスマスツリーそのものであると言っていい。

「本当はお前らがキスしてから点灯させようと思ったんだがな」

彼の作り上げたクリスマスツリーを見つめながら僕らに話しかける恭介。
その横顔はどこか神聖な雰囲気が漂っている。

「ま、これはこれで綺麗だろ?」

恭介はそこまで言うと、僕らの方に向き直り、ニカッと笑った。
次の瞬間、あまりの美しさに見とれていたみんなから、少し遅めの歓声が上がる。

「わー!!わー!!わー!!凄いよー!!」
「とても幻想的なのです~!!」

みんなのとても興奮したような声。小毬さんやクドなどはあまりの感動にクリスマスツリーの周りを走り出してしまったようだ。
他のみんなも満面の笑みで、その光景に見入っている。

「鈴、凄いね…」
「…うん」

どちらからというわけでもなく僕らは手を繋いでいた。鈴の手から伝わる彼女の体温がとても心地いい。
ふと、つないだ僕らの手に冷たいものが落ちた。
…雪だ。
その幻想的な白い粉は、あたりを包み込み、クリスマスツリーをさらに美しく彩る。

「はっはっは!!こいつは出来すぎだな…」

それを見て恭介がまた笑う、僕が笑う、みんなで笑う。
みんながいて、鈴がいて、僕がいて…こんなに楽しいクリスマスは初めてだ。きっとこれは世界中のどんな派手なお祭りよりも素敵なパーティなんだ。
世界で一番。僕たちだけのホワイトクリスマス。

「鈴…」
「ん?」

僕は繋いだ手の先にいる少女に優しく笑いかけ、そして一言…一言だけを口にした。






「メリークリスマス」






FIN



____________________________________________________

みなさんメリークリスマスです!!

フフフ…彼女のいない僕にはクリスマスなんてあまり関係ありませんけどね…うわああああああああああん!!

ということでクリスマス記念SSです。

ほのぼのした雰囲気が出せてれば幸いですが、いかがでしたでしょうか?

また、12月29日から10日連続更新というアホな行為を行いたいと思います。 

そしてその期間、web拍手上で「リトルバスターズの一問一答!!」を行います!!

なんとも無謀な企画ですが、応援していただけると幸いです!! 一問一答で質問していただける方も大募集です!!

感想いただけると嬉しいです!!いつもありがとうございます!!

web拍手もとてもありがたいです~!!元気がわいてきます!!
特にコメントつけてくれる方、ありがとうございます!!

↓web拍手です。面白かったら押してもらえると、幸せスパイラルです~↓
http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=maio7749
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聖なる夜なんて、、、聖なる夜なんて、、、
あと、2時間以内には終わるんですがね(汗

っておいさん、大丈夫ですよ!
ここにも、寂しい人間が一人程いますのでw


しかし、ケダモノな理樹ですか。。。

・・・アリですねwww
2007/12/24(Mon)22:10: 編集
Re:聖なる夜なんて、、、聖なる夜なんて、、、
コメントありがとうございます!!

聖夜ももうおわりましたね~。フフフ。

一人がー辛いかーらふたーりの手をつなーいーだー
ですね!!俺たちからリトルバスターズが誕生します!!(オイ)

ケダモノな理樹・・・もともと理樹君は若干ケダモノですよね~。

また読んでいただけると嬉しいです!
【2007/12/26 02:42】
でてこいやああああああああああああああ
で腹筋が崩壊しましたw
聖なる夜ですか・・・そんなものもありましたね
彼女なんかいなくたって僕には友人がいるやああああああああああああい
・・・心に、手負い・・・
研修生 2007/12/26(Wed)14:22: 編集
Re:でてこいやああああああああああああああ
コメントありがとうございます!!

この時期のもうひとつのイベントとして「でてこいやぁ!!」は外せないでしょう!!ということで使ってみました~

ふふふ…そうですよね。友達がいますよね…心に手負いでも気にしなうわあああああああああん!!

また読んでいただけると嬉しいです!!
【2007/12/28 02:47】
ジングルベールジングルベール鈴が鳴る~
どれだけテンション高いんだよ恭介w
プレゼント交換、謙吾はクド公か唯ねぇの手に渡らなければどうなっていたか…
そしてさりげにドカベンネタを混ぜるとは。
理樹君鈴ちゃん、君らはもうくちゃくちゃだ、くちゃくちゃくちゃ可愛い!!!

今回の再生ポイント
>「話がうますぎる」
ここから脳内がえらいことになりました。
筋肉~!
sou^ 2007/12/27(Thu)19:10: 編集
Re:ジングルベールジングルベール鈴が鳴る~
コメントありがとうございます!!

彼女がいなくても恭介がこんな日に暴走しないはずがありません!!少しその元気を分けて欲しいくらいですよ…

でも竹刀はわりとほしくありません?まぁ鈴の手にでも渡ろうものなら、次の日から真人に対するツッコミがバージョンアップしそうですが…

ドカベンネタよく気づきましたね…わりと気付かないかなーと思って入れてみたんですが…

もうこの純粋カップルが大好きです!!みおちん好きですけど、カップルという観点では鈴とがダントツで一番好きです!!…スマンみおちん。

ふっふっふ、そこからのカオスでは理樹が暴走という新たな時代が幕を開けました。これからも理樹には暴走してもらうとしましょう(自重しろ)

また読んでくださると嬉しいです!!
【2007/12/28 02:58】
中庭でスッポンポン!
「鈴…服を脱いで」

いやぁ、っておい!?さんには毎度やられますわ。
何かしらどこかで吹いてしまいます……くそっ、今度は負けないからなっ!
marlhollo 2007/12/28(Fri)00:43: 編集
Re:中庭でスッポンポン!
コメントありがとうございます!!

そこは今回の一番の見せ所です!!(オイ)

本人ほのぼののつもりでも、必ずどこかにカオスが入ってしまうという…でも、おもしろかったならよかったです!!

よしっ次もなんとか楽しんでもらえるようにがんばりますっ!!
また読んでくださると嬉しいです!!
【2007/12/28 03:00】
遅ればせながら
読ませていただきましたー。今のブームは変理樹なのかっ!ついに手負いさんまで見事な変理樹を……「でてこいやあああ」は吹いたw
そしてさりげに名探偵西園らしき発言がっ!?ておいさんは本当に美魚ちんが好きなんだなぁと思いましたよ。

29日からの更新もがんばってくださいねー。影ながら応援させていただきますー。
NELUO URL 2007/12/31(Mon)23:03: 編集
Re:遅ればせながら
コメントありがとうございます!!

なんか最近理樹君も少し変な方向へと突っ走っていしまいます…
「でてこいやあああああ」時期的にもこれしかないかな…と

フフフ…名探偵さんは少しNELUOさんの参考にさせていただきましたヨ。
どうもすみませぬ~
そりゃあ自分ミオチンスキーですから~

連続更新後悔しながらも頑張ります~。応援していただけると嬉しいでっす!
【2007/12/31 23:07】
あけましておめでとうございます!!そしてweb拍手御礼!!
みなさん、あけましておめでとうございます!!
そしていつも拍手ありがとうございます!!

今回は、10日連続更新の前、つまり12月28日まで返信したいと思います!!
それと、申し訳ないのですが、一問一答の質問にはここではレスは遠慮させて下さい。また場所を改めたいと思います~

12月24日
>一問一答のSS 楽しみにしています。
自分のセンスでどこまでできるかは不安ですが、楽しんでいってください!!

52件の拍手ありがとうございました!!

12月25日
>賑やかながらもとってもあったかいクリスマスSSでした。
その雰囲気が出せてればとてもうれしいです!!ありがとうございます!!

>おもしろかったです!
その一言がとてもうれしいです!!ありがとうございます!!

>リトバスのSSが読めれば彼女なんていらないさ!・・・ほ、ほんとにいらないんだからなぁっ!!
ですよね!!俺もリトバスのSSが書ければ彼女なんて…彼女なんて…うわあああああああああン!!

81件の拍手ありがとうございます!!


12月26日
>できるかぎり毎日見に行きますよ~。
それはとてもうれしいです!!どうかよろしくお願いします!!

27件の拍手ありがとうございます!!

12月27日
39件の拍手ありがとうございます!!


12月28日
14件の拍手ありがとうございます!!
っておい!? 2008/01/01(Tue)00:34: 編集
遅ればせながら・・・
 ご無沙汰いたしております、明けましておめでとうございます。
 遅ればせながら感想行きます。
 サダクロース・・・マジ怖ぇーよ。流石唯湖様。
 しかしまぁ理樹君が謙吾君のプレゼントに疑い持つのはしょうがないかと現在の暴走っぷり見てればねぇ。
 そしてここで新聞紙ブレードっすか。
よだれたらす唯湖様がいつも通りで素敵です。
 攻撃してたのにいつの間にかやられてた小毬さんがいつも通りで素直に可愛いと思えます。
 いやもう、ね、なんかね、恭介氏って空気マニア?ツッコミどころ有りすぎて追いつかねぇよ!
 そしてリトバスメンバーの行動を知ってるが故に起きてしまった理樹君の大暴走。
 あぁとうとうリトバスの良識最後の砦が落ちた・・・orz
 うん、理樹君、君は強くなった。
ただいきなり服を脱がすのは最高にデリカシィに欠けてますよ?脱がすならちゃんとムードを作りましょうね?(黙れ
流石演出好きの恭介氏と感心する傍ら、いつも金欠なのにそんな装備良く手に入ったね?頼むから犯罪者になるのだけは勘弁なっ!ロリコンでも俺は気にしねぇからよっ!と一瞬のうちに思った俺も大概螺旋が外れてるよーです。
 とにもかくにもバスターズらしい大騒ぎなクリスマスSSで楽しかったです。
るじゅなー 2008/01/01(Tue)17:29: 編集
Re:遅ればせながら・・・
あけましておめでとうございます!!今年もよろしくお願いします!!
早速コメントありがとうございます!!

サダクロースはなぜかアドリブで思いつきました。どれだけ脳内がカオスなんだ俺…。
まぁ謙吾手負い流の謙吾は常時暴走してますからね…小毬はやられキャラなんです!!というかその方が輝くんです!!…多分。

恭介君、ハワイならまだしもキューバですからね…意図がわからなーい!!

理樹君がついに暴走…彼もいい素材なんですよ…周りが凄すぎるだけで…強くなっちゃいましたね。まぁデリカシィにかけるのが理樹君ですから。

恭介氏の人脈は無限なのです!!困ったら生き倒れて人脈確保です。というかそんなことやってるから金がないのかも・・・
ロリコン疑惑…それははたして真実なのか否か!!気になって夜も眠れませんよ~。嘘です

やはりリトルバスターズにはシリアスよりどたばたがにあいます!!

これからもこんなの書いていこうと思うので、よろしくお願いします!!
【2008/01/02 00:30】
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