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「ふぁ…」
私は、高度10000メートルの上空で大きな欠伸をします。それだけ聞くと何が起きたのか意味不明ですが、なんてことはありません、飛行機に乗っているのです。
テヴァからの帰り道の飛行機で私は暇を持て余していました。
皆さん今頃何をしているんでしょうね…。楽しいお正月は過ごせたんでしょうか。
「でもおじい様には本当に困ったものです」
日本びいきのおじい様のおかげで、テヴァにいながらおせちを食べ、振袖を着させられました。挙句の果てには初詣と言って街中をその格好で歩きまわされる始末。
全く、恥ずかしくて仕方がなかったです!!もうぷんぷんですっ!!
…ですが、それでもとても楽しいお正月でした。ただおじい様ともう一度笑いあえるだけでも、私には大きすぎる幸福だったのです。…いえ、「私には…」などと遠慮するのはもうやめましょう。
今年はもっともっと幸せな一年になってほしいものです。
「ふふっ」
私はそんな事を考えながら、手さげバッグの中からエアメールの封筒を取り出します。その中から出てきたのは9枚の葉書。
それはリトルバスターズのみんなからの年賀状でした。
「エアメールで年賀状って…流石皆さんですね」
しかもちょうど1月1日につくようになっているところがまた憎らしいです。私に内緒で、日本にいる間に既に出していたということですから。
もちろん私もすぐさま返事を書かせてもらいました。同じくエアメールなので、到着するのはまだ先になりそうですが。手渡しでもよかったのですが、やっぱりこういうのは雰囲気が大事ですよね。
そんな事を考えながら皆さんの葉書にもう一度目を通します。
「わふー、何度見てもべりー、いんたれすてぃんぐなのですっ」
年賀状一つとってみてもリトルバスターズの皆さんは個性的です。
例えば、小毬さんのネズミは幸せそうにたくさんのお菓子を食べていてとってもぷりちーです。
鈴さんの葉書はは子年なのに一面猫で、ネズミの登場する余地がありません。
井ノ原さんのボディービルディングマウスを見た時は、思わず「わふー!!」と驚いてしまいました。
西園さんの葉書にいるネズミは二匹向かい合っていて、とても仲がよさそうです。多分恋人同士なんでしょう。…ところで攻めとか受けとかってなんなんですか?
来ヶ谷さんのネズミは、もう一匹のネズミに食べられそうになってます。あとでお説教です!!ところでこのネズミ、どことなく私に似ている気がしますが、気のせいですよね。
三枝さんのネズミは、何故かビー玉を食べています。相変わらず脈略がありません。
宮沢さんのネズミが着ているのはもちろんジャンパー。10匹いますけど……これは私たちなのでしょうか?皆さんジャンパー着てますが…。
恭介さんの年賀状は……無茶苦茶です。もうなんというかこの…言葉ではとても表現できません。ですが素敵な年賀状でした。
リキのは…何というか普通でした。一般的な年賀状と言うか、少しインパクトとしては皆さんに負けています。……ですが、とても暖かさの……優しさのこもった年賀状でした。
『間もなくーーーー』
年賀状を見ながら頬を緩ませている私の耳に、日本語の機内アナウンスの声が入ってきました。
外を見てみると、視界に入るのは見慣れたとても大きな島。
「……帰ってきたんですね。日本に」
しみじみと呟きながら、私は機内アナウンスに従いシートベルトをつけました。
ただいまです。日本。
入国審査を無事に終えた私は、自分の荷物を取りに行きます。現在午後の3時過ぎ。ここから寮までは電車でだいたい3時間くらいかかります。
…寮につくのは午後7時くらいと言ってあるので、少し時間をつぶした方がよさそうですね。
私は右手にキャスターバッグを、左手には山ほどのお土産を持ち、出口へと向かいます。本当にもうすぐ皆さんのもとへと帰るんですね。
「皆さん…私に「おかえり」といってくれるでしょうか…?」
そんな卑屈な思考をすぐにかき消すように私は首を振ります。
きっと皆さんなら言ってくれます。これまでのように私を本当の家族のように扱ってくれるはずです。リトルバスターズはそんな暖かい場所なんですから。
…そう考えると一刻も早く皆さんの元に帰りたくなってきました。皆さんには7時と言ってありましが、もう少し早く帰ることにしましょう。急げばもう少し早く着くこともできるはずです。
…寮に付いたら何よりも先に、皆さんに向って「ただいま」と言いましょう。そして早く帰ってきて驚く皆さんに、たくさんのお土産をプレゼントするのです。きっと喜んでくれると思います。
フフ…皆さんに会うのが楽しみですね。早く皆さんからおかえりと……
「おかえり!!」
「え…?」
急に聞こえてきた声に驚き、振り返ります。
そこには…
「こっちだよ、クド!!」
「リ、リキ…みなさんも…?」
そこにいたのはリトルバスターズの皆さんでした。井ノ原さんと宮沢さんによって、大きく広げられた横断幕には「おかえり、能美・クドリャフカ」という文字。二人は私と視線が合うと、笑顔を見せてグッと親指を立てました。
ど、どうして皆さんがここに…?いや、お出向かえに来てくれたということは理解できるのですが、そもそも私は飛行機の到着時間すら皆さんに知らせていません。
唖然としている私に向って、恭介さんが自信満々にニカッと歯を見せて笑います。
「寮につく時間がわかってればどの飛行機に乗ってるのかなんて一目瞭然だっての。お前の性格上寄り道もしないだろうしな」
「わふー…」
つまり恭介さんは、私の宣言した時間から逆算してこの飛行機を割り出したということです。こっちが驚かすつもりでしたが、完全に上手を行かれてしまったようです。
「久しぶりね。クドリャフカ」
「か、佳奈多さん?」
驚くべきことに、そこには佳奈多さんの姿もありました。あれだけリトルバスターズと一緒に行動することを嫌がっていたのに、どうしたんでしょう?
「別にあなたのために来たんじゃないわ。葉留佳にどうしてもって言われたから仕方なくよ」
「…なにも言ってないんですけど」
「なっ!?」
紅くなる佳奈多さんを見て、葉留佳さんをはじめ皆さんが笑います。
ああ、ほんの数日間離れていただけなのに、こうやってみなさんと笑いあうのは随分と久しぶりな気がします。私が自分の都合で帰省していただけなのに、こうして皆さんが私のために迎えに来てくれて、それを嫌な顔どころかみんなで笑って待っていてくれる。本当に、とても…とても暖かい場所ですね…ここは。
私はいつの間にか、こんなに暖かい場所を手に入れていたんですね。
「あ、あれ…」
「クドリャフカ君?」
ふと、私は自分の瞳から滴が流れているのに気付きました。
「おかしいですね…どうして涙が出てくるんでしょう……こんなに、こんなに幸せなのに」
全然悲しくなんてないのに、涙があふれて止まりません。
どうしましょう…せっかく皆さんに会えたのに、私、いきなりかっこ悪いところを見せてしまっています。皆さんに元気な所を見せなきゃいけないのに、これでは逆に心配をかけてしまいます。でも、でも…どうしても涙が止まってくれません。
どうしようもなくなっておろおろとしている私の頭上に、ふと影が差し込みます。
何事かと顔をあげるみると、いつの間にか皆さんが私の周りを輪になって囲んでいました。
「大丈夫か?能美」
「クド、よしよしだ…」
「クーちゃん~。元気出して~」
「おいおい、せっかくの再会になく奴があるかよ」
「能美さん、ハンカチです」
「うぇ…皆さん…すいません、すいまっせ…ん…」
皆さんの優しさに私の眼からさらに涙がこぼれます。優しく見守ってくれる皆さんに対して、私には謝ることしかできません。
そんな私の頭の上に大きな掌が置かれた。恭介さんだ。
「おいおい、違うだろ?こう言う時はなんていうんだ?」
確かにそうです。ここは謝るところではありませんよね。
「はっい…皆さん。ありがとう…ございます…」
私は恭介さんの意図を酌んで、涙でかすれた喉から必死に感謝の言葉を紡ぎます。
でも、私の予想に反して、それを聞いた恭介さんは優しい笑顔を浮かべながらも首を横に振りました。
「悪くはないが、60点だな」
「?」
「うん、そうだね。…ねぇクド」
何が悪かったのかわからずに困惑している私にリキが優しく笑いかけてきます。
その口から紡がれた言葉は…
「おかえり」
「あ…」
全く…卑怯すぎます。この人たちはどれだけ私を泣かせれば気が済むんでしょう。
もう私はあふれる涙を止めようとは思いませんでした。
その代りにしっかりと上を向いて、涙まみれのくしゃくしゃな…だけど満面の笑顔を皆さんに向けました。
「ただいまですっ!!」
ただいま……私の帰る場所。
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1月5日終了~。これで残すところは2日ですね。
はい、今回はロリ担当、クドリャフカでした~
今まで影が薄くて非常に申し訳なかったのですが・・・クドも書くの苦手なんですよねぇ…
美魚(敬語)→葉留佳→クド…って俺はドMだったのか!?…いやどっちかっていうと確実にSなはず・・・あ、どうでもいいですね。
あ、そう言えばこれでリトルバスターズはメンバー10人全員の一人称を経験したことになりますね。リトバスが初SSというか文書きなのにはまりまくってるな~俺。
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新年からコメントありがとうございます!!
いやー。クオリティが伴ってればよかったんですが、やっぱり無茶でした。でもやると言ったからにはやらねば!!みたいな感じで今に至ります…orz
あ、それ自分も途中で気づいたんで、というか変更ボタンがあることにいまさら気づいたんで(おそっ!!)、それからは削除せずに変更してます~。お騒がせしました~。
俺もこれが終わったら皆さんの作品を読み漁りたいと思います!!でわでわ~
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