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「全員、集まったな!!」
数日振りにリトルバスターズが全員集合した食堂に、恭介さんの声が響き渡る。
今日は『クーちゃんおかえりパーティ&リトルバスターズ新年会』の開催日。内容としては、外国から帰ってきたクーちゃんへのねぎらいと、今年もいい年でありますようにという祈願をこめてみんなでわいわいやろうというなんとも私達らしいものだ。
そして、なんとこのパーティの発案者は僭越ながら私なのですっ。私がこの事を提案すると、恭介さんは快く頷いてくれたのだった。
「恭介、飲み物も行きわたったよ」
「よっしゃ、まずは乾杯の音頭だな」
恭介さんはそう言って、クリスマスでも飲んだ気持ちの良くなる不思議なジュースの入ったグラスに手を伸ばす。どこにあんなジュース売ってるんだろう?とまぁ、そんな事は置いといて、恭介さんの乾杯の音頭に合わせないとね。
気を取り直して私が恭介さんの方に視線を向けると、そのまま恭介さんと視線があった。
「いけ!!小毬!!」
「ふぇぇぇぇ!?わ、私!?」
…こんなやり取りが前にもあった気がするよ~。いつだったっけ?
とにかく指名されたからには頑張らないと…ようし!!
「レディースエーンドジェントルメーン!!」
「ジェントルマーーーーーーーーーーン!!」
「ほわぁ!?」
「謙吾…音頭の邪魔しないで上げなよ」
ふぅ、びっくりしたよ~。気を取り直して…
「これより『第一回クーちゃんおかえりパーティ&リトルバスターズ新年会』を始めますっ」
「キターーーーーーー!!」
「いよっしゃーーーー!!」
「わふーーーーーーー!!」
「乾杯だよっ!!」
私の掛け声とともに、グラスとグラスの合わさりあう小気味のいい音が響き渡る。その様子を一通り見まわした後、すぐに私も全員とグラスを合わせに行った。
「小毬さんっ!!今日はありがとうございましたっ!!」
「ううん。いいんだよ~、クーちゃん。クーちゃんが楽しければ、私達も楽しいから…ほら、幸せスパイラル」
「そうですけど、それでもありがとうございましたですっ!!」
クーちゃんの感謝に私は得意の幸せスパイラルで答えるが、それでもクーちゃんは私に対してお礼を言い続ける。
そんなにお礼言われてもなんか照れくさいよ~。
「それだったらさ、私にだけじゃなくてみんなにも言った方がいいよ~」
「はいっ、そうですね。行ってきますっ!!」
私の提案に、クーちゃんはそう頷くとすぐにみんなの所にお礼を言いに行った。でも確かにこうやってお礼を言われるだけでも、なんとなく幸せな気分になれる。きっとクーちゃんはそんな幸せな気分をみんなに与えに行ったんだろうな…幸せスパイラル、幸せスパイラル。
でも本当にいい子だなぁ~、クーちゃんは。ようし!!私も見習わないと。
「小毬さん、何ガッツポーズ取ってるの?」
「ほわぁ!?」
み、見られてた!?
「むひょっす、こんなに可愛い娘がたくさんいるパーティに参加できて最高だぜ。と言った所か」
「それは来ヶ谷さんの気持ちでしょ…」
相変わらずのゆいちゃんの妄想に理樹君が鋭くツッコミをいれる。ちなみに当のゆいちゃんはと言うと、よだれをたらしながらとても幸せそうな顔をしている。
「ゆいちゃん~?」
「ぐ…だからゆいちゃんと…」
どうしてそんな幸せそうなのか不思議に思った私がゆいちゃんに声をかけると、ゆいちゃんは一瞬でトリップから元に戻った。どうやら相変わらず名前で呼ばれることに抵抗があるらしい。
こんなに可愛いゆいちゃんにお似合いなとっても可愛い名前なのに~。どうして嫌がるんだろう?
「コマリマックス、本当に恐ろしい女だ」なんて呟いているゆいちゃんに対して私は首をかしげる。
「可愛いのにね~。理樹君」
「うん、来ヶ谷さんは可愛いと思うよ」
「…君達、実はドSだろう」
私と理樹君でゆいちゃんを褒めちぎっているのに、その度にゆいちゃんが狼狽していくのがわかる。ついには耐えきれなくなったのか、逃げるようにはるちゃんの所へと行ってしまった。
ふぇぇ???どうして~???
「理樹、小毬ちゃん」
「あ、鈴」
「鈴ちゃん~」
ゆいちゃんとと入れ替わるように鈴ちゃんが私たちの元へやってくる。パーティの騒がしい雰囲気に、心なしか鈴ちゃんも楽しそうだ。
鈴ちゃんが楽しそうで、私も幸せ…ほら、また幸せスパイラル。
「鈴、楽しんでる?」
「うん。二人はどーだ?」
「とっても楽しいよ~」
そうやって笑いあうと、それからしばらくは3人でお喋りをして過ごした。とっても楽しい時間だ。
理樹君も鈴ちゃんも私の作ったお菓子をおいしそうに食べてくれているし、鈴ちゃんも昔と違って積極的にいろいろなことを話してくれる。
本当にこのパーティを開いてよかったよ~。あ、そう言えば…
「理樹君、あのですねっ」
「ん?どうしたの、小毬さん」
「このクッキーはね、鈴ちゃんが作ったんだよ~」
「こ、小毬ちゃん…」
「え?そうなの?」
そう、昨日鈴ちゃんが一緒に作ると言ってくれたので、私がクッキーの焼き方を教えたのだった。私と理樹君が鈴ちゃんの方向に振り返ると、鈴ちゃんは照れくさそうに頬を染めつつおずおずと頷いた。
「へぇ、そうなのか」
「恭介」
「う…悪いか…?」
後からやってきた恭介さんがニヤニヤしながら鈴ちゃんに視線を向ける。それに対して鈴ちゃんは恥ずかしそうに顔をそらしている。
そんな微笑ましい光景に私と理樹君も思わず頬を緩めてしまう。そんな視線を恭介さんは特に気にするでもなく、恥ずかしそうな鈴ちゃんに視線を向けたまま、クッキーを一つ口に運ぶ。
「なかなかよくできてるじゃないか」
「そ、そーか?」
恭介さんがそう言うと、鈴ちゃんがぱぁっと表情を明るくする。
「ああ、おにーちゃんへの愛情を感じるな」
「感じるかー!!ふかー!!」
「はっはっは…」
照れ隠しに怒ったような声をあげる鈴ちゃんを軽くあしらい、恭介さんは背中を向けてみんなの所へと戻っていった。その後ろ姿はどこか嬉しそうで、彼の鈴ちゃんに対する深い愛情を伺わせる。
…お兄ちゃん…か。いいなぁ…。
「小毬さん、どうかした?」
「ほわぁ!?なななななんでもないよ?」
「?」
どうやら羨ましそうな顔をしていたのを理樹君に見られていたらしい。
な、なんかとっても恥ずかしいよ~。
「そ、それより理樹君。鈴ちゃんのクッキーは食べないの?」
「そうだね。いただくよ」
かなーり強引な話の逸らし方だったが、空気を読んでくれたのか、理樹君は簡単に話に乗ってくれた。鈴ちゃんのクッキーを手に取ると、そのまま口に放りこむ。鈴ちゃんもそれを見て、感想が聞きたかったのだろう、少し緊張した面持ちですぐに理樹君の前に戻ってきた。
「…どーだ?」
「うん、おいしいよ。鈴」
そう言って理樹君はいつもの恭介さんのように、鈴ちゃんの頭を撫でながら、鈴ちゃんに身体をそばに寄せる。鈴ちゃんはまた照れくさそうにしてたけど、付き合ってる理樹君に褒められてとても嬉しそうだった。
くすくす…二人はとってもお似合いのカップルだね。二人とも凄く幸せそう…
私がその二人を笑顔で見守っていると、こっちに気づいた鈴ちゃんが素早く理樹君の手を払う。
「な、何してるんじゃー!!こらー!!」
「はは、ごめんごめん」
「あっちいけー!!」
「うわっ、もう…仕方ないなぁ」
ぐいぐいと鈴ちゃんは必死になって理樹君の背中を押す。理樹君もそれに呆れたように溜息をつきながらみんなの所へと歩いて行った。残されたのは私と肩で息をしている鈴ちゃんの二人。
い、いいのかな~。照れくさいのはわかるけどせっかく理樹君と、らぶらぶできるチャンスなのにそんな邪見にしちゃって…
私が心配していると、鈴ちゃんは私の方向に神妙な面持ちで振り返った。
「小毬ちゃん…」
「なに?」
「…ごめん」
「え…?」
そう言って鈴ちゃんは私に向かって深々と頭を下げる。
どうして…?どうして鈴ちゃんが私に向かって謝ってるの?
いくらそれを考えてもさっぱり答えは見つからなかった。このままでは埒が明かない。私は頭を下げる鈴ちゃんに、直接理由を聞こうと声を掛ける。
「えっと鈴ちゃん、どうして謝ってるの?」
「……」
「鈴ちゃん?」
私が優しく、だけど根気強く尋ねると、鈴ちゃんは消え入りそうな声でこう答えた。
「…あたしだけ……理樹と付き合って…」
「!?」
私は鈴ちゃんの言葉の意味が一瞬理解できなかった。うつむいている鈴ちゃんに対して、何かを言おうとするのに、なにも言葉がでてきてくれない。
「もう、全然覚えてないけど…小毬ちゃんと理樹が一緒だった事がきっとあったんだ。その事を思い出すことはもうできないけど、それでこんなこと言うのはおかしいかもしれないけど…でも確かにあったんだ。そんな時間がっ……なのに、なのにあたしはこうやって一人だけ理樹と一緒になって…」
……本当は、頭の中、ううん…もっと深いところで私はわかっていたのかもしれない。私が、みんなが、理樹君と愛し合った世界が確かにあったことを。そしてその世界が訪れることは……もう二度とないことを。
鈴ちゃんのたどたどしい言葉、普通なら意味がわからないはずの言葉。…だけど私にはそのすべての意味がわかってしまった。
「あたしは馬鹿だ。…小毬ちゃんの前で当然のように理樹といちゃいちゃしたりして…」
鈴ちゃんはそう言うとさらに縮こまってしまって、私の返事を待っていた。頭を下げた鈴ちゃんは本当に申し訳なさそうで、見ているこっちが辛くなってしまう。
ああそっか…恥ずかしいからじゃなくて、あたしに申し訳なく思ったから鈴ちゃんは理樹君を遠ざけたんだ…。本当に優しいね。鈴ちゃんは……でもね…?
「えーい!!」
「ふにゃっ!?」
私はゆいちゃんよろしく、後ろからガバッと鈴ちゃんを抱きしめ、そのまま鈴ちゃんのぷにぷになほっぺに頬ずりした。それにビクッと反応した鈴ちゃんは、「うー!!」とうなって私から逃れようとするが、私への負い目があるからか、その抵抗はとても弱かった。もちろん頬付けは続行だ。
それそれそれ~、うーんぷにぷに。
「ん~!!」
「…ねぇ、鈴ちゃん、理樹君と付き合って幸せ?」
もがく鈴ちゃんに、私は一つの質問をする。鈴ちゃんはそれを聞いて少し考え、俯きながらもこう答えた。
「小毬ちゃん……うん。幸せだ」
私に対する気まずさはあるのかもしれないけど、それでも鈴ちゃんは正直に答えてくれた。
それなら…
「えへへ~、鈴ちゃんが幸せなら、私も幸せだよ」
「…小毬ちゃん」
「ほら、幸せスパイラル」
私はそういって、今にも泣きだしてしまいそうな鈴ちゃんに満面の笑顔を向ける。
「小毬ちゃんっ!!」
今度は鈴ちゃんの方から私に抱きついてきた。
そっか…不安だったんだね、鈴ちゃん。でも大丈夫、何があっても私たちは鈴ちゃんの友達だから…
「なぁ、小毬ちゃんは…今、幸せか?」
私の耳元から、今度は鈴ちゃんの質問の声が聞こえてきた。私のことを抱きしめている腕にも心なしか力がこもっている。
…そんな質問への答え、決まり切ってるよ。
「うん、鈴ちゃんやみんなと一緒に入れて、とっても幸せだよ~」
「なら、あたしも幸せだ!!…幸せスパイラルだ!!」
「えへへ~」
ひとりで幸せになるのには限度がある。でもこうやって二人で幸せを分かち合えれば、幸せは無限に広がっていくんだよ。だから鈴ちゃんが幸せなのは鈴ちゃんのためだけじゃない。そのおかげで私達も幸せになれるなら、それはとっても素敵なことなのです。
「ほら鈴ちゃん」
「ん?」
そしてそれは…もっと多くの人がいればもっともっと素敵なことなんだよ。一人じゃ辛くても二人いれば、二人じゃ寂しくてもみんなで輪になれば、手を放さない限りずっと幸せは終わらないんだよ。
そんな事を考えながら、私は笑う。そして笑顔を取り戻した一番の仲良しさんの手を引いて、みんなの元へと走り出した。
「みんなにも幸せをわけにいこう?」
「…うん!!」
きっと今年もこの幸せの輪が続きますように。
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今回はコマリマーックス!!です!!
やべぇこれまた難しい…あとの方に難しいの残し過ぎました…ぐはっ!!
あとラスト、ラスト一日です!!
これが終わったら少し休もう…読んでないSSもよまねばー…
とにかくそのためにも!!ラスト一日頑張りまっす!!
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