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全身の筋肉の目覚めとともに、俺はベッドから上体を起こす。寝ぼけた眼をこすりながら俺は周囲を確認する。
その視界の端っこには俺の親友である理樹の宿題をしている姿があった。
「あけましておめでとうっ」
年があけるや否や、それだけを言うと鈴は俺に寄りかかりながら寝息を立て始めた。
まったく…コイツはこんなことのために必死で今まで起きてきたのか。そんな無茶苦茶な所はまさしく俺の妹と言っていい。
それはそうとして、この力尽きた小さな勇者の労に俺たちは答えてやらないとな。
俺はそう思いながらみんなの顔を見回す。どうやらみんな同じ考えに至ったようで、俺が何も言う前に頷いてくれた。
…さすがだな。お前たちは。
「あけましておめでとう」
目を閉じて寝息をたて始めた鈴に、俺たちは優しくその一言だけを告げた。
「大筋肉感謝祭だあああああああああああ!!」
「うっさいわ!!」
もう夜だというのに大声を出して筋トレをしている真人にキックをかます。
ちなみにここは理樹の部屋だ。今年最後の日にもかかわらず、あたしと理樹と真人の3人は思い思いの行動をして過ごしていた。時計の針は間もなく夜の9時を回ろうとしている。あと3時間で今年が終わり来年が始まるのだ。
それなのにコイツときたら…
今日はリトルバスターズの10人で空港まで行くことになった。
それというのも、能美が自国に帰省するとのことで全員で見送りをすることになったのだった。
「ついに我らがリトルバスターズも世界進出か…」
「謙吾、意味分からないよ」
俺のギャグに対して真横に立っていた理樹が素早くツッコむ。
相変わらずいい筋をしている。いい相方に恵まれればM-1優勝も夢ではないのではないだろうか。
と、冗談はここまでにしておいて、数日とはいえ能美に会えないのは少し寂しい。しかもこの時期だ。きっとこれからみんなで初詣やら何やらで盛り上がっていくのだろう。その場に一人だけいないというのはどういう気分なのだろう。
…いや、その気持ちは俺が一番理解しているのかもしれないな。意地をはってリトルバスターズの輪から遠ざかろうとしていた自分が。
「ふぅ」
コーヒーを一口飲んだ私は、ほっと一息つく。
いつものお気に入りの場所で、お気に入りのコーヒー。にもかかわらず随分と久しぶりな気がする。
それというのも原因ははっきりしている、リトルバスターズだ。最近の私はどこにいくにも彼らと一緒で、一人になることすら珍しい気がする。全く…私のようなつまらない女と一緒にいて彼らは何が楽しいのか。
そう思いながらも顔がニヤけてしまっている自分に気づいた私は、慌てて顔を引き締める。
危ない危ない…こんな所を理樹君や恭介氏に見られたら厄介だからな。
まぁつまるところ、私にとっても彼らと一緒にいる事は嫌ではない…いや、むしろとても嬉しい。こんな自分を大切にしてくれるあの場所がとても愛しい。…もっとも彼らには口がさけてもこんなことは言わないが。
随分と変わってしまったものだな…私も。
「ま、悪い気はしないがな」
そんな独り言は寒空の下、風にかき消され、誰の耳に入ることもなかった。
彼らといる時間はとても楽しいのは確かなのだが、いつもあのお祭り騒ぎだとさすがに疲れてしまうのも事実だ。つぎのミッションの際に最高に楽しむためにも、今はこうやって一人たそがれるのも悪くない。冬休みの閑散とした裏庭はそういったことにはうってつけだ。
と勝手に自己完結しながら穏やかな風を感じていると…
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